お知らせ

お酒の飲みすぎで白内障になる!? ということについて解説いたしました。

お酒は百薬の長と言われますが、飲みすぎるとよくないことも知られています。

わかっちゃいるけどやめられないというのがお酒です。詳しく解説いたしました。これは、

Alcohol use patterns and risk of incident cataract surgery: a large scale case-control study in Japan. Fukai K, et al. Scientific Reports, 2022

という論文をもとに作成いたしました。

この動画は白内障が気になる方や、アルコールがお好きな方には有益な情報が入っていますので、ぜひ最後までご覧ください。

今まで、他の国から報告されたものでは、アルコールは白内障のリスクを高めるものや、あまり関係ないものと様々なものがあり、統一見解はないというものでした。

日本において多くの方を対象とした論文が2022年に出版されたため、これをもとに解説いたします。

これは、合計3万人くらいのかたを対象とした、日本での労災病院34病院を合わせた統計です。これだけ多くの人を検討した統計はあまりありません。

アルコール摂取している人と、摂取していない人を比較しました。

白内障の手術が必要になる割合を検討しています。40歳から69歳の年齢の方を対象としています。

そうすると、週に1−3日飲む方は白内障手術をするリスクが1.1倍になり、週4-7回飲酒をされる方はリスクが1.3倍になります。3割増しなので、結構増えるという感じです。仮に100人いたら30人も増えるというものです。

飲む量としては1回にビール中瓶2本以上で、リスクが上がると言われています。1リットルなので、かなりの量ですね。

そのほか、飲酒をしていると糖尿病や高血圧になるリスクも増えてしまいます。

糖尿病もおおよそ1.1倍くらいになってしまうと言われています。

男女で比べると男性よりも女性の方が、より少ない量のアルコール量でリスクが高くなると言われています。元々女性の方が、男性よりも体が小さいことが多く、アルコール代謝も2/3くらいと言われていますので、納得がいく結果となっています。

逆に以前お酒を飲んでいた方が、禁酒をすると白内障手術のリスクは下がるという結果でした。

なぜアルコールを摂取すると白内障手術が必要になりやすいかというと、アルコールを摂取すると酸化ストレスが増して、白内障が進行しやすいのではないかということが考えられています。白内障は一般に加齢で悪くなるものですが、酸化ストレスが強くなると通常よりも若い年齢で悪化してしまいます。実際白内障手術が必要な患者さんは糖尿病があると10歳くらい年齢的に若くして必要になるという印象があります。

普通の白内障手術は70−80歳くらいで行うことが多いので、それより若い方で白内障手術が必要になるというのは、強い酸化ストレスにさらされていると考えられます。酸化ストレスが高まると水晶体は濁りやすくなってしまいます。

ただしこの論文にも問題があります。

最近の白内障手術は外来手術が多いのですが、この報告では入院での手術に限定して検討しています。通常入院で手術する場合には体の合併症も多いことがあるため、その分リスクが高い症例を対象にしている可能性があります。つまりより若い年齢で白内障が進行しやすい方を対象としているということです。

また、お酒の種類については不明なため、ビールが悪いのか、ワインが悪いのかあるいは日本酒が良くないのかということについてはわからないということが挙げられます。しかしながら、これだけ多くの方を対象とした研究は少ないため、非常に有益な情報と言えます。

以上をまとめますと、お酒をたくさん飲んでしまうと若くして白内障手術が必要になるリスクが上がってしまいます。適量を心がけてお酒を楽しんでください。

 

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