お知らせ

カテゴリー: トピックス

学術講演会で座長を務めました。2024年2月

松戸市眼科医会の学術講演会で座長を務めました。

特別講演として日本医科大学 眼科主任教授の岡本史樹先生に 黄斑上膜の診断治療と類縁疾患について お話していただきました。

大変勉強になりました。今後の診療のレベルアップにつながると思います。

手術顕微鏡を更新いたしました。

主に白内障手術で用いる手術用顕微鏡を更新いたしました。

Leica社のProveo 8 というモデルです。

同軸LED照明という方式で、詳細に目の組織を見ることができます。

これにより、今までよりもさらに安全・確実に白内障手術が行えるようになりました。

手術統計2019年から2023年 現在までの白内障手術総件数 5691件

2019年から2023年までの手術統計を示します。

 

 

年間約500件の白内障手術を施行しております。その他、近年では加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜中心静脈分枝閉塞に対する硝子体注射術が増加傾向です。
緑内障光凝固術は白内障手術により代替できる場合があるため、やや減少傾向です。
いずれの手術においても、大きな合併症がなく安全に施行可能でした。
今後もより安全安心な手術が可能となるように、スタッフ一同自己研鑽を深め、精進していきたいと考えております。

学術講演会で座長を務めました。

松戸市医師会、松戸市眼科医会の合同開催による学術講演会(2023年12月20日)で座長を務めました。

アイフレイル対策について説明いたしました。

目の調子が悪いと介護が必要になりやすい? アイフレイルって何?

こちらでも解説しています。

特別講演は、筑波大学臨床医学系眼科 准教授の平岡孝浩先生に「近視抑制治療の進歩と実践」という内容で講演いただきました。大変勉強になり、有意義な買いとなりました。

14周年を迎えました。

無事に開業14周年を迎えることができました。スタッフと患者さんに感謝です。体に気をつけて、これからも「快適な目で人生に潤いを」ということを目指し、わかりやすい医療を提供していきたいと思います。

スタッフからおいしそうなお酒をいただきました。あとで、ゆっくり飲みたいと思います。

色覚異常があると 焼き肉がうまく焼けない!? ということについて解説いたしました。

色覚異常というのは、以前は色盲とか色弱などといわれていました。イメージ的には色がわからなくて白黒の世界なの?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、この色覚異常は色が全然わからなくなるわけではなく、見分けるのが難しい色の組み合わせがあるというものです。色覚異常には先天性と後天性というものがありますが、今回は先天性に限定して解説します。なお、色覚異常は2017年に日本遺伝学会から色覚多様性とよぶことが提唱されています。今回は従来の表現で統一します。

もともと目の神経細胞には青、緑、赤を感じる3種類の錐体細胞というものがあります。この錐体細胞が色の感覚を担うセンサーのようなものと考えてください。各々得意な色が違うので、その色のブレンド具合、すなわち反応の微妙なバランスにより100万色という、すごくたくさんの色を認識しています。ちなみに現在の液晶テレビなどは1677万色も表現できるといわれています。

 

色というのは光の波長で決まります。人間が見える波長はおおよそ380-780nmといわれています。緑と赤という2つの色は感覚としてはすごく離れているものですが、実はそれらの波長は割と近いのです。そして、その遺伝子も近くに存在するので、遺伝するときに緑と赤の遺伝子がまじりあってしまうことがあります。この緑と赤の遺伝子は人間の染色体のうちx染色体にあります。まじりあってしまうと何が困るのでしょうか?まじりあった遺伝子があると、緑と赤のどちらかを認識する細胞がそもそもできなかったり、働きが弱くなってしまうことがあるからです。先天色覚異常はほとんどが、この赤緑異常のため、この場合に限って説明します。

 

ちょっと難しくなりますが、男性の染色体は44+XY、女性の染色体は44+XXとなっています。色覚はX染色体連鎖劣性(潜性)遺伝で支配されています。そのため男性はまじりあったX染色体が一つあるだけで、色覚異常となります。女性はX染色体が2つあるので、同時にまじりあった染色体がない限り、色覚異常を発症しません。以上のことから、男性は女性よりも色覚異常を起こしやすくなります。その結果、おおよそ男性の5%、女性は0.2%が色覚異常といわれています。男性だと学校のクラスには1人いるイメージです。AB型の方が5%といわれているので、それと同じくらいの割合です。女性は結構探しても、ほとんどいないという感じです。なお、女性は保因者といってまじりあった遺伝子と正常のX染色体を持っている場合があり、その確率は10%となります。

 

少し複雑になりましたが、今の話をまとめると、色覚異常は男性でよりなりやすいということを知っていればよいかと思います。

 

さて、いよいよ、色覚異常でなにが困るか?ということです。

色覚異常が軽症の場合にはほとんどの場合意識しないで過ごしていることが多いです。軽度の色弱(異常3色覚)の場合が多いです。

色覚異常が重度の場合には、小さい頃はお絵かきなどで分かることがあります。ピンクの象をかいたり、スイカの食べる部分を緑に塗る、木の葉っぱを茶色にぬるなどといったことがあります。知識がないとふざけないで!ということになりますが、本人にとっては見えている通りにやっているつもりなので、それを指摘してしまうとかわいそうなことといえます。幼稚園や保育園、小学校の先生にはぜひ知っておいてほしいものです。また、赤い肉がやけるとだんだん黒くなりますが、1型色覚の場合には、その赤と黒の区別がしにくくて、生焼けの肉をたべて、おなかを壊すということもあります。この認識については、成長に伴って、ほかの情報から補完していくことが多く、普通の生活にはほとんど困ることはありません。

 

しかしながら、職業の選択では制度的になれないものや、やりにくい仕事もあります。以前よりは色覚異常の制限は減っていますが、鉄道関係や航空関係は色覚が正常であることが必要となっています。また、微妙な色を扱う美容関係や、印刷業、映像関係、食品関係は仕事上、やりにくい可能性があります。そのため、職業を選ぶうえで、色覚異常のありなしは知っておいたほうがよいというものです。この規制はだんだん変化していますので、気になる方はときどき情報を検索しておいた方が良いと思います。

 

平成15年までは、学校の健診において、小学校4年生の時に色覚検査が必須になっていたのですが、それ以降は色覚検査が必須項目から外れたため、知らずに大きくなり、職業選択の時に初めて色覚異常に気付くということもありました。その是正のために平成25年に日本眼科医会と眼科学会が文部科学省に要望書を提出し、学校医の健康相談において、生徒や保護者の同意を得て、個別に検査、指導を行うということになりました。しかしながら、全員が検査を受けているわけではないため、知らずに成長して職業選択の時に困るということがあります。色を扱うような職業に就く場合には、一度は色覚検査を行っておいた方が良いといえます。

 

以上まとめますと、色覚異常は男性の20人に1人、女性の0.2%にみられます。普通の生活においては、困ることはあまりないですが、職業を選ぶときには注意が必要です。気になる方は小学校や遅くとも中学校くらいのときに、一度色覚検査を行っておいた方が良いと思います。

 

なお、焼肉が生焼けになってしまうことを何度か経験すると、色以外の情報から、うまく焼けるようになるということです。

白内障手術後 絶対してはいけないこと! について解説いたしました。

現在の白内障手術は特に問題がなければ10分前後で終わります。白内障が進行していたり、ほかに合併症がある場合にはもう少し時間がかかることがあります。99%の方は問題なく手術が終わります。

 

通常1晩だけ、眼帯をして、次の日の診察時に眼帯を外します。

濁っている水晶体をとって、代わりに人工の眼内レンズを入れるので、その時点からある程度見やすくなっています。ぴったり見るには手術後1か月程度で眼鏡を合わせる必要があります。

 

ただし、手術後気を付けないと、失明につながりうる怖い合併症を起こすことがあります。詳しく説明したいと思います。

 

現在の白内障手術は3mm弱の傷を作って、目の中のレンズを入れ替えます。その傷は、自己閉鎖創といって、中の圧力によって縫わなくても傷が閉じるようになっています。おおよそ1週間くらいで傷の表面の組織が修復します。しかし、目を押してしまうと、傷が開いて目の中にばい菌が入ってしまい、眼内炎という病気を起こしてしまうことがあります。治療が遅れてしまうと失明してしまうこともある怖いものです。

この、眼内炎の予防には目薬をしっかりつけること、そして目を圧迫しないことというのがとても大切になります。目を押してしまうと、閉じていた傷が開いてしまうことがあるからです。

傷が開かないように糸で縫ってしまえばよいと思われるかもしれませんが、縫ってしまうと乱視が強くなってしまい、手術後の見え方が悪くなってしまいます。なので、白内障手術時の傷は縫わないほうが良いのです。

 

目薬をきちんとつけることも大切です。通常は3種類の目薬を使います。一つは抗菌薬、バイ菌感染の予防のために使います。眼内炎という感染を起こしてしまうと適切な治療をしないと見えなくなったりする危険があるので、とても大切です。

もう2種類は抗炎症薬です。傷が小さいといっても、目の中の操作をするので炎症が起きます。これが長引くと黒目の細胞が傷んだり、眼圧が上がる場合があります。手術による影響で網膜がむくむこともあります。そうするとゆがんで見えたり、視力が下がってしまうので、その予防効果が高い目薬を3か月程度使用します。

 

以上まとめますと

白内障の手術後で大切なのは

・目を押さないこと

・目薬を決められた回数でしっかりつけること

これらのことを守ると、手術後の良い視力を維持することができます。

緑内障で失明するのはどのくらい?ということについて解説しました。

緑内障は日本人の失明原因1位の病気です。緑内障は目の神経が目の圧力に比べて弱いために減っていってしまい、見えにくくなっていく病気です。緑内障と聞くと失明というイメージを持っている方も少なくないと思います。実際どのくらい失明してしまうのでしょうか?

そもそも、緑内障が日本人の失明原因1位の理由はその患者さんがとても多いということが一番関与していると考えられます。多治見スタディによると40歳以上で20人に1人、緑内障であると報告されています。人数としては約465万人と推計されています。

ほかの目の病気に比べて、患者さんの総数が多いためにどうしても失明原因の1位になりやすいといえます。

以前の海外からの報告によると失明原因で1/3は未発見、1/3は不適切な治療、1/3はアドヒアランス不良、目薬や治療をきちんと続けられないことが理由といわれています。

日本でも2000年のデータだと、緑内障があるのにもかかわらず、緑内障と診断されていない方が緑内障全体の90%であると報告されています。

また、目薬の治療をきちんと行わないと、進行スピードが6倍になってしまうともいわれています。

それでは、実際失明する確率はどうでしょうか。

 

アメリカやスウェーデンの報告では、

緑内障の方が10年治療して、片目が失明する率が約26%、両目だと約6%、20年治療で片目の失明が約38%、両目で約14%といわれています。

 

日本での報告ではなく、かつやや古いデータなので、おそらく今ではもう少し低くなっている可能性はありますが、やはり緑内障は年数がたつと失明しやすくなっています。

失明しやすいのは、緑内障の発見が遅い人、目薬などの治療をしっかりできない人といわれています。

イメージ的には緑内障といわれて、何もしないでいると10-20%は失明してしまいます。

それでは、どういう対処をしたらよいでしょうか。

まず、見つかっていない方が多いので、目の健診を受けることが大切になります。特に40歳以上で緑内障の率が上がってきますので、眼圧や眼底写真で判定することが大切といえます。日本人は正常眼圧緑内障といって、眼圧が正常でかつ緑内障の方が90%といわれていますので、眼圧測定だけでは不十分です。必ず、眼底写真、目の奥の写真の判定が大切といえます。

いったん緑内障が見つかった場合には、治療をとにかく続けることが大切です。緑内障の目薬をつけても、見えやすくなったり、すっきりするということはありませんが、つけ続けることで、10年後20年後に快適に過ごせる確率が上がります。

 

以上、まとめますと

緑内障は確かに日本人の失明原因1位の病気です。

しかし、早期発見、しっかりした治療を継続することで、失明の確率を下げることができます。

目の健診を定期的に受けることで、快適な目を維持していきましょう。

参考文献

Grant WM, et al.: Ophthalmology 1982

Peters D, et al.: Am J Ophthalmology 2013

 

ページの先頭へ