お知らせ

カテゴリー: 目の病気

眼瞼けいれん

症状:眼の周りがぴくぴくする。疲れる。乾く。 診断:細隙灯顕微鏡、誘発試験。 治療:ストレスの除去、ビタミン剤内服、ボトックス注射。 コメント:眼瞼けいれんは重症例では診断は簡単ですが、軽症例では比較的難しいとされています。軽症例であっても、診察室でできる簡単な誘発試験により診断することができます。最も有効な治療はボトックスという薬の注射です。これはフグの毒と同じ成分で、神経や筋肉をマヒさせる作用があります。これを非常に薄い濃度で、用いるため危険はありません。注射により、ぴくつきが90%以上とれるため、非常に有用です。ただし、効果は2−3か月程度で消失するため、定期的な注射が必要です。何度か治療することにより、治療間隔を延長できるといわれています。院長はボトックス注射認定医であり、適切な治療を行うことができます。なお、しわとり目的での注射は行っておりません。                                                    

弱視

症状:視力低下(眼鏡やコンタクトレンズを使っても悪い)。 診断:視力検査、調節麻痺薬を使用した視力検査。 治療:健眼遮閉(いい方の目をわざと使わないようにして、悪い方の目を鍛えさせます)、屈折矯正(適切な眼鏡の装用) コメント:人間の眼は生まれたときには不完全です。成長する過程でよく眼を使うことで、視力が発達します。おおよそ6-8歳くらいで眼の機能は完成します。それまでの間に、何らかの原因(強度近視・遠視・乱視、斜視など)により、適切な発達が行えなかった場合、弱視(どんなにいい眼鏡を使っても、視力が上がらない)となります。早期に発見して、原因を取り除くことができれば、弱視はかなりの確率で治療可能です。3歳児検診や就学前検診は必ず、受けるようにしましょう。                                                      

斜視

症状:眼の位置がおかしい。ダブって見える。目が疲れる。整容的に気になる。 診断:視力検査・眼位検査。 治療:眼鏡(遠視が原因で起きる場合)、プリズム眼鏡(眼の位置に応じて光を曲げて見える眼鏡)、手術。 コメント:全人口の2%程度の割合で斜視の患者さんがいるとされています。多くは不自由なく生活することができますが、大人では眼精疲労の原因となったり、子供では視力の発達が妨げられ、弱視になってしまったりと、積極的な治療を必要とする場合があります。院長は大学病院在院中、多くの斜視の手術に携わってきました。                                                        

眼精疲労

症状:目が疲れる、見えにくい、重い、痛い。 診断:視力検査、調節力検査。 治療:適切な眼鏡・コンタクトレンズの装用、調節緊張改善薬、環境改善。 コメント:テレビやインターネットの普及により、眼精疲労を訴える方が多くなりました。多くは不適切な眼鏡・コンタクトレンズの使用が原因ですが、それだけではない場合もあります。ドライアイや眼瞼痙攣などでも同様の症状を示すことがあり、適切な診断が必要です。コンピュータを使用するときには、一定の時間ごとに必ず休憩を入れるなど、生活上の注意だけでも改善がみられることがあります。きちんとした検査による眼鏡処方箋で眼鏡やコンタクトレンズを作ることが大切です。                                                        

加齢黄斑変性症

症状:視力低下、中心暗点(まんなかが見えない) 診断:視力検査、眼底検査、光干渉断層計。 治療:サプリメント、加齢黄斑変性症治療剤眼内注射、光線力学療法。 コメント:以前の日本では非常に少なかった疾患です。生活の欧米化により増加してきたとされています。欧米などの先進国では中途失明原因の1位です。日本では中途失明原因の4位になっています(2004年身体障害者取得手帳調査による)。しかも、徐々に増加することが予想されています。網膜の中心にある黄斑という部位に脈絡膜新生血管が発生して、網膜色素上皮剥離や網膜出血を引き起こして視力の低下をきたします。簡単に言うと悪い血管のせいで、物を見る中心に徐々に障害が起きる病気です。 治療法:10年前には治療法はありませんでした。しかし、近年薬物や特殊なレーザーによる治療が確立してきています。病変が小さいほど治療効果は高いので早期発見・早期治療が重要な疾患といえます。ただし、現時点の治療法では視力の維持からやや改善というのが、精一杯です。そのため、早めに診断するということが大切です。院長は大学病院在院中に抗血管新生薬眼内注射や光線力学療法を行っており、さらに光線力学療法認定医です。適切な診断と、治療を行うことができます。光線力学療法が適すると考えられた場合、適切な施設へご紹介いたします。眼内注射のみでも光線力学療法を凌駕するような視力維持さらには上昇効果が得られることが知られています。 image010 黄斑に出血がみられる。 image011 光線力学治療後 出血が改善して視力の維持が得られた。

網膜裂孔・網膜剥離

症状: 飛蚊症(ひぶんしょう;ゴミみたいなものがたくさん見える)、光視症(こうししょう;光るものがたくさん見える)、視野欠損(膜がかかったように急に見えなくなる) 診断: 視力検査、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡、眼底検査。 治療: 網膜裂孔だけであれば網膜光凝固(レーザー)、網膜剥離では硝子体(しょうしたい)手術か強膜内陥術。 コメント 網膜剥離は1万人当たり1年に1人の割合で発生します。30歳前後と60歳前後に多い病気です。近視が強い方は網膜が薄くなるため、よりリスクが高いとされています。手術により95%は治癒しますが、逆に言うと5%は失明してしまう怖い病気です。早期発見・早期治療が術後の成績をよくします。近視が強い方は特に何もなくても2-3年に1回の定期検診をお勧めします。一度でも網膜裂孔や網膜剥離が認められた方は6か月から1年に1回は最低限定期検診を受けた方が望ましいです。というのも、一度網膜裂孔がみられた方は、高率に同じ目や反対の目に同じ網膜裂孔や網膜剥離を生じることが多いからです。院長は網膜硝子体学会の会員として、このような網膜裂孔・網膜剥離の治療に多くかかわってきました。 image009 左上の部分が剥離してしまった網膜。このまま放置すると失明するため、治療が必要。                      

糖尿病網膜症

症状:見えにくい。急に見えなくなる。(初期には全く無症状)。 診断:視力検査・眼圧検査・細隙灯(さいげきとう)顕微鏡・眼底検査。蛍光眼底造影(点滴から造影剤というお薬を入れて、眼の奥の写真を撮り、色素の漏れ具合から異常な部位を調べます)。 治療:網膜光凝固(レーザー)。硝子体手術。 コメント 糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症の一つで、初期には全く症状はありませんが、治療のタイミングを誤ると急激に失明に至る怖い病気です。糖尿病の患者さんは予備軍を含めると2000万人に達しようとしており、糖尿病網膜症の患者さんが今後さらに増加してくるのではないかという懸念があります。糖尿病にかかっている患者さんで全く症状がなくても年に1回の検診は必要です。適切な時期に発見し、その病期に応じた治療が必要です。 病気についてもう少し詳しく 糖尿病はインスリンというホルモンの相対的不足のために、高血糖が起き、それによる小さな血管の障害が根本にあります。眼には網膜という神経の膜があり、そこで光を感じています。網膜には小さな血管がたくさんあるため、糖尿病にかかると血の巡りが悪いところが出てきます。それが進行すると網膜は“血”が足りないと感じて、悪い新生血管や増殖膜が発生し、硝子体出血(眼の中の大きな出血)、牽引性網膜剥離(増殖膜が網膜を引っ張ってはがしてしまう)を引き起こしてしまいます。多くはこの時点で視力低下を感じます。治療せずに放置すると、牽引性網膜剥離か血管新生緑内障(悪い血管が引き金になる極めて難治性の緑内障・痛い)を引き起こして失明してしまいます。 具体的な治療は? 基本的にはレーザー光線により必要ない網膜(血の巡りが悪いところ)を焼いて、少ない血でも網膜が機能できるようにします。これが十分であれば、悪い循環(新生血管や増殖膜を作り、さらにそれが、悪化の原因となる)を断ち切り、網膜症の悪化を防ぐことができます。 可能な限りレーザーで悪化を抑えて、それでも進行する例には手術を行うという流れが一般的です。ただし、血糖値を上げない(著しい上下も悪いとされる)ことが根本的に大切です。院長は網膜硝子体学会の会員であり、このような糖尿病網膜症の治療に精通しております。 image006 中等度の糖尿病網膜症。白い部分は血の巡りが悪く細胞が死にかかっているところや老廃物がたまっているところ。赤い部分は毛細血管の破たんによる出血。この状態であれば、治療により沈静化する可能性が高いです。 image007 重症の糖尿病網膜症。増殖膜という悪い膜や新生血管が多発して、牽引性網膜剥離(失明の一歩手前)を引き起こしている。失明しないためには、硝子体手術が必要。 image008 重症の糖尿病網膜症。旺盛な増殖膜と硝子体出血(眼の球の中に多量に出血している)がみられる。眼の神経がやっと見える程度なので、著しく視力は低下している。(おおよそ目の直前で手を振って分かる程度、0.01以下)

花粉症(アレルギー性結膜炎)

症状:眼がかゆい・充血する・違和感がある。 診断:細隙灯(さいげきとう)顕微鏡、特異抗体検査。 治療:原因からの回避。抗アレルギー薬、ステロイド薬の点眼。 コメント:花粉症は日本人にとくに多い疾患です。多くは2月から5月まで目がかゆく・充血します。さらに鼻水・くしゃみなども起こします。スギ・ヒノキの花粉症が多いですが、通年性のハウスダスト(家の中のゴミやダニの死がいなど)が原因のものも増えてきました。さらにコンタクトレンズ装用者も増加してきており、アレルギー症状を悪化させる原因の一つです。最適な薬物治療と原因からの隔離法をお伝えできればと思います。角膜学会ではこのようなアレルギー疾患も対象としており、院長の専門の一つです。 image005 重症のアレルギー性結膜炎(春季カタル)の患者さんの瞼の裏 強いアレルギー反応により乳頭(いぼいぼに見える)が増えている かなりかゆく、痛みまである                                    

ドライアイ

症状:眼が乾く・疲れる・しょぼしょぼする。眼をあけているのがつらい・痛い。ものが見えにくい。肩がこる。 診断:細隙灯(さいげきとう)顕微鏡。涙液量分泌検査。涙液安定性検査。 治療:保湿。人工涙液・ヒアルロン酸製剤(化粧品などに入っている保湿成分の一つです)・低濃度ステロイド点眼など。涙点プラグ(涙の出口にふたをするもの)。 コメント:ドライアイの患者さんは最近増えています。ある統計によると1000万人以上の患者さんがいるとされています。多い原因として、コンタクトレンズ装用、長時間のVDT作業(コンピュータなどを見つめる作業)、自己免疫疾患が挙げられます。目が乾くということ以外の症状もあり、一般的に多彩な症状の原因として気付かれにくく、見逃されることが比較的多い疾患です。ただし、治療を怠ると眼の乾きだけでなく、最悪感染症(ばい菌がついてしまう)が起きることもあり、早期発見・早期治療が大切です。なるべく日常生活を妨げないような治療法ができるよう最善を尽くします。院長は角膜学会会員であり、大学病院においてドライアイの研究や治験にかかわっていました。 image003image004 (左)カラー写真ではキズがよくわからない。 (右)フルオレセインという色素で涙液を染色すると、角膜表面のキズがよく分かる。真中から下方にみられる小さな点がキズです。                      

緑内障

症状:眼がかすむ、視野(見える範囲)異常がでる。つかれる。(無症状のことも多いです) 診断:眼圧検査、眼底検査(視神経乳頭)。 治療:点眼薬により眼圧(目の圧力)を下げる治療を行います。十分に眼圧が下がらない場合や、点眼薬で効果が不十分な場合には手術を行います。 コメント:緑内障は40歳以上の方の17人に1人罹患しているという、かなり多い病気です。初期には全く症状がないため、知らないまま放置すると失明に至る恐れがあります。現時点では定期的な健診により見つけるしかありません。検診の時に眼圧だけでなく、眼底検査も行うことが重要です。というのも、日本人には眼圧が正常値の緑内障(正常眼圧緑内障)が多いからです。これは、適切な眼底検査により視神経検査を詳細に行う必要があります。 今のところ残念ながら、白内障と異なり緑内障を根本的に治す方法はありません。早期発見し、進行をできるだけ遅らせる(視野障害を出さなくする)ということが目標です。1年に1回は専門医の診察を受けることをお勧めします。院長は緑内障学会会員であり、緑内障ガイドラインに沿った診断・治療を行うことができます。院長は大学病院在院中に緑内障の分野で研究を行っていました。 緑内障発作?:片眼が急激に痛み、充血し、頭痛・吐き気まで出る場合には緑内障発作(原発閉塞隅角症)が疑われます。一般には高齢の小柄な女性に多いですが、そうでなくても発症する場合があります。眼の中の房水という水の出口の直前(隅角)が詰まってしまうことにより、急激な眼圧上昇をきたします。著しい高い眼圧が持続してしまうと失明してしまいます。しかし、気づきさえすれば予防的治療(レーザー虹彩切開術や白内障手術)により、全く自覚症状がでないうちに治療可能です。頭痛が起きるため、内科や脳外科に受診される場合があり、その際には治療が遅れて視神経障害が残ってしまう場合があります。 緑内障なのに白内障手術?:隅角という部分が狭いために起きてしまう閉塞隅角緑内障の根本的治療が白内障手術です。というのも、もともとの水晶体(眼の中のレンズ)は4mmほどの厚みを持っているのに対して、白内障手術のあとに入れる眼内レンズは1mm弱です。この大きさの差により、隅角が広がり(房水の出口が広がり)、緑内障発作を予防します。 image002 視神経線維の障害により視神経乳頭陥凹(目の神経のへこみ)が大きくなる。                  

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