ICLを検討し始めると、「これって健康保険は効くの?」「結局いくら払うの?」と費用面で足が止まる方は多いものです。まとまった金額と聞くと、迷ってしまいますよね。
ICL(眼内コンタクトレンズ)の保険適用は公的医療保険の対象外で、費用は全額自己負担の自由診療です。ただし、医療費控除・民間の生命保険・医療ローンを組み合わせれば、実質の負担は下げられます。
金額や給付の可否は、課税所得や契約内容で変わります。最終的には税務署・保険会社・医師への確認が前提になる点を、先にお伝えしておきます。
この記事でわかること
- ✔ICLに公的医療保険が使えない理由
- ✔ICL手術の費用相場(両眼の目安)
- ✔医療費控除で戻る額の年収別の目安
- ✔生命保険の手術給付金が使えるかの見分け方
- ✔3つの手段を合わせた実質負担の試算
この記事の目次
ICLは保険診療と自由診療のどちら?位置づけを整理
ICLは、病院で受ける診療のうち自由診療に位置づく手術です。公的医療保険が使える保険診療とは、支払いの仕組みが分かれます。
保険診療では、かかった費用の一部を公的医療保険が負担します。自由診療のICLはこの負担がなく、全額を自分で支払います。
医療費が高額になったときに払い戻される高額療養費制度も、保険診療が前提のため使えません。
とはいえ、負担を和らげる手段はあります。医療費控除・民間の生命保険の手術給付金・医療ローンの3つです。
費用相場は両眼でおおむね45万〜66万円(税込)が目安です(2026年7月時点)。この3つを組み合わせると、実質の負担を軽くできます。
なぜICLは保険適用外なのか|先進医療にも当てはまらない
ICLが保険適用外なのは、公的医療保険が「病気やケガの治療」に給付する制度だからです。視力の矯正は生死に関わる治療とは区別され、自由診療として扱われます。
「先進医療なら一部は保険が効くのでは」と考える方もいます。しかし、ICLは先進医療にも含まれません。
先進医療は厚生労働大臣が定める高度の医療技術で、令和8年7月1日現在で73種類が対象です。診察や検査など通常の治療と共通する部分は保険が使えますが、先進医療部分の費用は自己負担になります。
この一覧にICLは入っていません。そのため、先進医療の保険外併用療養費という枠組みにも当てはまらず、費用は全額自己負担です。
今後保険が適用される可能性については、現時点で予定は公表されていません。当面は自由診療という前提で費用を考える必要があります。
ICL手術の費用相場|両眼でいくらかかる
ICL手術の費用相場は、両眼でおおむね45万〜66万円(税込)が目安です(2026年7月時点)。
ICLは眼の中に矯正レンズを挿入する近視矯正術で、レンズを摘出すれば元に戻せる可逆的な方法です。現行の主流モデルはEVO ICL、製造元は米国のSTAAR SURGICAL社です。乱視に対応するタイプはトーリックICLと呼ばれます。
費用に幅があるのは、いくつかの条件でオプションが加算されるためです。
- 乱視の有無(トーリックICLは加算されやすい)
- 近視・遠視の度数の強さ
- レンズの種類(単焦点か多焦点か、ICLかIPCLか)
- 片眼のみか両眼か
参考価格の一例として、両眼42.7万円(税込・-3D未満)で、度数や乱視に応じてオプションが加算され、着手金2.2万円が別途というケースがあります。
見積もりを取るときは、レンズ代・検査代・着手金が総額に含まれるかを確認しておくと、あとで想定外の出費を防ぎやすくなります。
ICLは医療費控除の対象|年収別にいくら戻るか
ICL手術の費用は医療費控除の対象で、確定申告をすると所得税の一部が戻ってきます。戻る額は年収(課税所得)によって変わります。
ここでは、対象になる理由・控除額の計算式・年収別の目安・対象になる費用の順に整理します。
ICL手術が医療費控除の対象になる理由
ICL手術の費用は医療費控除の対象になります。視力を回復するための医療行為で、美容目的ではないためです。
国税庁は、視力回復レーザー手術(レーシック)の費用を、医師の診療・治療の対価として医療費控除の対象になると示しています。
ICLの手術費用も同じ趣旨で対象になると、各クリニックが案内しています。
控除額の計算式
医療費控除額は「実際に支払った医療費 − 保険金等の補てん − 足切り額」で求めます。
足切り額は原則10万円です。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%になります。
控除の上限は200万円です。たとえば手術費用が70万円で補填がなければ、10万円を引いた60万円が控除の対象額になります。
年収別にいくら戻るかの目安
戻ってくる所得税の目安は、控除対象額に自分の所得税率をかけた金額です。
| 課税所得の目安 | 所得税率 | 控除対象額 | 所得税の還付の目安 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 60万円 | 約3万円 |
| 330万円以下 | 10% | 60万円 | 約6万円 |
| 695万円以下 | 20% | 60万円 | 約12万円 |
| 900万円以下 | 23% | 60万円 | 約13.8万円 |
所得税率は国税庁「所得税の税率」の速算表に基づく、課税所得別の目安です。実際の還付額は課税所得・他の控除・補填の有無で変わります。
これは費用70万円・補填なしを想定した目安です。実際は課税所得や補填の有無で変わります。
所得税の還付に加えて、翌年度の住民税も控除額に応じて軽減されます。手元に戻る額と翌年の負担減を合わせると、体感の効果はもう少し大きくなります。
還付額は一人ひとりの状況で変わります。正確な金額は税務署や国税庁の情報で確認してください。
対象になる費用・ならない費用
医療費控除には、手術費用のほか通院にかかった費用の一部も含められます。
対象になる費用
- ✔ICL手術そのものの費用
- ✔術前検査・診察の費用
- ✔通院時の電車・バスなど公共交通機関の交通費
一方で、自家用車のガソリン代・駐車場代、原則タクシー代は対象外です。
対象にならない費用
- 自家用車のガソリン代・駐車場代
- タクシー代(公共交通機関が使えない場合を除く)
医療費控除の申請手順|確定申告の流れと必要書類
医療費控除は年末調整では受けられません。自分で確定申告をする必要があります。
申告に必要な書類は次のとおりです。
申告に必要な書類
- 確定申告書
- 医療費控除の明細書
- マイナンバーカードなど本人確認書類
- 還付金の振込口座がわかるもの
申告は医療費を支払った翌年に行います。還付を目的とする申告なら、対象年の翌年1月1日から5年以内まで受け付けられます。
生命保険の手術給付金は使える?対象か見分ける判断基準
ICL手術で生命保険の手術給付金が出るかは、加入中の保険の約款しだいです。
公的保険に連動せず、手術内容を個別に定めるタイプなら対象になる余地があります。まずは契約先への確認が近道です。
ICLは手術給付金の対象になりにくい
ICL手術は、多くの生命保険・医療保険で手術給付金の対象外となるケースが多いのが実情です。治療目的の手術に該当しないと判断されることが多いためです。
ただし、対象になるかどうかは、加入している保険の約款・手術の種類・診断名で決まります。扱いは一律ではありません。
対象になる可能性もゼロではありません。加入中の保険があれば、一度契約先の保険会社に確認しておきましょう。
対象かどうかを見分ける判断基準
自分の保険が対象か見分けるには、約款の手術給付の項目を確認します。
- ✔給付対象の手術一覧に「眼内レンズを挿入する手術」が含まれるか
- ✔日帰り手術が給付の対象になっているか
- ✔対象手術を個別に定める方式か、公的保険連動の方式か
近年は、公的医療保険の対象手術に連動して給付する商品が増えています。その場合、自由診療のICLは対象外になりやすい点に注意が必要です。
保険会社への確認のしかた(質問文例)
保険会社への確認は、手術名を正確に伝えるほど回答が明確になります。
- 「ICL(眼内コンタクトレンズ)手術は手術給付金の対象になりますか」
- 「日帰りの眼内レンズ挿入術でも給付されますか」
- 「自由診療の手術は給付の対象外でしょうか」
県民共済・日本生命・ソニー生命などでも、扱いは各社の約款によって異なります。パンフレットだけで判断せず、契約先の窓口で確認するのが確実です。
加入から年数が経っている保険ほど約款が古く、給付の扱いが変わっていることもあります。証券番号を手元に置いて問い合わせると、やり取りがスムーズです。
医療費控除・保険・医療ローンで実質負担はいくら?
医療費控除の還付と生命保険の給付、医療ローンを踏まえると、実質の負担は費用総額より下がります。
| 項目 | 金額の目安(費用70万円のケース) |
|---|---|
| 手術費用の総額(両眼) | 70万円 |
| 医療費控除による還付・軽減 | 約12〜18万円(課税所得により変動) |
| 生命保険の手術給付金 | 対象外のことが多く0円の想定 |
| 実質負担の目安 | 約52〜58万円 |
医療費控除の還付は、所得税の還付と翌年度の住民税の軽減を合わせた目安です。生命保険の手術給付金が対象になれば、その分さらに負担は下がります。
医療ローン(分割払い)は、総額そのものを下げる方法ではありません。月々の支払いを平準化し、一度に用意する現金を抑える手段です。
その代わり金利がかかるため、総支払額は現金一括より増えます。この点は組む前に確認しておきましょう。
この試算はあくまで一例です。課税所得・補填の有無・契約内容で変わるので、確定した金額は税務署や保険会社に確認してください。
医療費控除を含めた費用の考え方は、地域別のクリニック比較記事でも取り上げています。
よくある質問
- Q. ICLは共済(県民共済など)で保険適用になりますか?
-
A. 自由診療のため公的保険は使えず、共済の手術給付金も対象外となるケースが多いです。可否は各共済の約款によって異なるので、契約先に確認してください。
- Q. 乱視のICL手術は保険適用になりますか?
-
A. 乱視に対応するトーリックICLも含めて、費用は全額自己負担の自由診療です。ただし手術費用は医療費控除の対象にはなり得ます。
- Q. ICLの術後検診・定期検診は保険適用ですか?
-
A. ICLに関連する検診は自由診療扱いで、保険適用外となることが多いです。費用の扱いは受診先のクリニックによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- Q. 医療ローンで支払ってもICLは医療費控除の対象になりますか?
-
A. 医療費控除は、その年に実際に支払った医療費が対象という原則があります。分割・ローンの扱いは支払方法によって異なるため、税務署に確認するのが確実です。
- Q. レーシックは保険適用されますか?ICLと何が違いますか?
-
A. レーシックもICLと同じく保険適用外の自由診療です。国税庁はレーシック費用を医療費控除の対象と示しています。違いは、レーシックが角膜を削る不可逆的な方法なのに対し、ICLはレンズ挿入で元に戻せる可逆的な方法という点です。
まとめ|保険は効かなくても実質負担は下げられる
ICLは公的医療保険の対象外で、費用は全額自己負担の自由診療です。先進医療や高額療養費制度にも当てはまりません。
それでも、医療費控除・生命保険の手術給付金・医療ローンを組み合わせれば、実質の負担は下げられます。
- ✔医療費控除で所得税の還付と翌年の住民税軽減を受ける
- ✔加入中の保険で手術給付金が出ないか確認する
- ✔医療ローンで月々の支払いを平準化する
還付でいくら戻るかは課税所得で変わり、手術給付金が出るかは加入中の保険の約款で決まります。ここが判断の分かれ目です。
自分のケースで正確に知るには、税務署・保険会社・受診先の医師にそれぞれ確認するのが確実です。手術を受けるかどうかは、費用だけでなく目の状態を診てもらったうえで判断してください。

