お知らせ

花粉症目薬の使い分けについて解説いたしました。

花粉症がつらい季節です。

目のかゆみには主に目薬で治療を行います。注意点も必要なため、解説いたしました。

 

花粉症を持っている方の割合は40%-50%と報告されています。まさに日本人の国民病といっても過言ではありません。目がかゆい場合には目薬、鼻が詰まったりくしゃみが出る場合には点鼻薬を使います。それでも悪い場合には内服薬を使うこともあります。

 

眼科で花粉症の方に処方する目薬は大きく2種類に分かれます。抗アレルギー薬とステロイド薬です。抗アレルギー薬は一番基本になる薬で、アレルギー反応を起こす悪役のヒスタミンをブロックして、充血や目のかゆみ、めやにを抑えます。比較的副作用が少ない薬です。これでも収まらない場合に使うのが、ステロイド薬です。ステロイド薬は強力に炎症を抑えることができますが、炎症を抑えるために効きすぎると感染症を起こしてしまったりします。一番怖いのはステロイド薬を使用していると、目の圧力 眼圧が上がってしまうことがあることです。そうすると緑内障という病気になります。悪くすると失明につながる怖い病気です。

 

これはステロイド緑内障といって眼科医にはすごく一般的なことです。そのため、どんなにかゆい方が来てもステロイド薬はほんの少ししか処方しません。これは緑内障になってしまって気づかずにいるとどんどん視野がかけてしまうからです。怖いことに、眼圧は多少上がっても全く気付くことがありません。その間に神経がどんどん減って緑内障が悪化し見えにくくなってしまいます。

 

このステロイド緑内障は若い年齢ほどなりやすいといわれています。10代から20代くらいまでの方はとくに眼圧が上がりやすくなっています。実際の症例です。10代で重症の花粉症を持っている患者さんが、一度眼科で抗アレルギー点眼薬と少量のステロイド点眼薬を処方されました。その後、部活などが忙しくて眼科に行けないためほかの科の先生から長い間目薬の処方を受けていました。2年後久しぶりに受診したときには、眼圧が正常上限の1.5倍になっており、ステロイド緑内障を発症して、視野障害も中期くらいまで進行していたということが報告されています。ステロイド緑内障になった場合には痛みは全くなく、視野が徐々にかけてしまっています。徐々にかけるため、自分で気づくのが遅くなります。そのうえ、かなり高い眼圧になってしまうことが多く、短期間で視野が悪化する場合があります。一度、かけてしまった視野は治すことができません。早めに気づいて、ステロイド薬を減らしたり、中止すれば緑内障で視野が悪くなることはなかったと考えられますので、非常に怖い症例です。

 

ほかの科の先生が目薬を処方する場合には、眼圧や目の表面のチェックができないため、患者さんが希望するならと、ステロイド点眼を処方することがあります。先生は良かれと思って処方しているのだと思いますが、ステロイド緑内障になるとずっと視野障害が続いてしまい、将来的に失明のリスクが高くなってしまいます。患者さんもステロイド点眼は効果が高いためにこのステロイド点眼ばっかり使ってしまうことがあります。必ず、普通の抗アレルギー点眼を使って、悪い時にステロイド点眼を使うという風にしないと運が悪いとステロイド緑内障により失明につながります。ステロイド点眼を使う場合には必ず眼科でチェックを受けることが大切です。

 

まとめますと、花粉症で使う目薬のうちステロイド薬は効果は高いですが、緑内障になる危険があります。普通の抗アレルギー薬を使って効果が不足するときに使うようにしてください。必ず眼科でチェックしてもらいつつ、花粉症の治療を行うことが大切です。

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