現在の白内障手術は特に問題がなければ10分前後で終わります。白内障が進行していたり、ほかに合併症がある場合にはもう少し時間がかかることがあります。99%の方は問題なく手術が終わります。
通常1晩だけ、眼帯をして、次の日の診察時に眼帯を外します。
濁っている水晶体をとって、代わりに人工の眼内レンズを入れるので、その時点からある程度見やすくなっています。ぴったり見るには手術後1か月程度で眼鏡を合わせる必要があります。
ただし、手術後気を付けないと、失明につながりうる怖い合併症を起こすことがあります。詳しく説明したいと思います。
現在の白内障手術は3mm弱の傷を作って、目の中のレンズを入れ替えます。その傷は、自己閉鎖創といって、中の圧力によって縫わなくても傷が閉じるようになっています。おおよそ1週間くらいで傷の表面の組織が修復します。しかし、目を押してしまうと、傷が開いて目の中にばい菌が入ってしまい、眼内炎という病気を起こしてしまうことがあります。治療が遅れてしまうと失明してしまうこともある怖いものです。
この、眼内炎の予防には目薬をしっかりつけること、そして目を圧迫しないことというのがとても大切になります。目を押してしまうと、閉じていた傷が開いてしまうことがあるからです。
傷が開かないように糸で縫ってしまえばよいと思われるかもしれませんが、縫ってしまうと乱視が強くなってしまい、手術後の見え方が悪くなってしまいます。なので、白内障手術時の傷は縫わないほうが良いのです。
目薬をきちんとつけることも大切です。通常は3種類の目薬を使います。一つは抗菌薬、バイ菌感染の予防のために使います。眼内炎という感染を起こしてしまうと適切な治療をしないと見えなくなったりする危険があるので、とても大切です。
もう2種類は抗炎症薬です。傷が小さいといっても、目の中の操作をするので炎症が起きます。これが長引くと黒目の細胞が傷んだり、眼圧が上がる場合があります。手術による影響で網膜がむくむこともあります。そうするとゆがんで見えたり、視力が下がってしまうので、その予防効果が高い目薬を3か月程度使用します。
以上まとめますと
白内障の手術後で大切なのは
・目を押さないこと
・目薬を決められた回数でしっかりつけること
これらのことを守ると、手術後の良い視力を維持することができます。