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「ICLで後悔した」という体験談を読んで、予約ボタンを押す手が止まっていませんか。
- ✔「夜の光がにじむと聞いた。車の運転に困らない?」
- ✔「目に入れたレンズが合わなかったら、どうなるの?」
- ✔「まとまった費用をかけて、後悔する側になるのが怖い」
怖いのは手術そのものより、自分が後悔する側になることではないでしょうか。自由診療で費用は小さくなく、レンズは目の中に入れたままになります。慎重になって当然です。
ICLで語られる後悔は、大きく2種類に分かれます。ひとつは夜間のハロー・グレアといった術後症状による後悔。もうひとつは、聞いていた話と違ったという期待とのズレです。
期待とのズレは、適応検査の結果と費用の条件を先に確かめれば減らせます。症状のほうも、報告されている発生率を知れば受け止め方が変わります。
この記事の結論
- ✔後悔は「術後症状」と「期待とのズレ」の2種類に分かれる
- 同じ「後悔した」でも、原因も対処も別物です。まず自分の不安がどちらなのかを切り分けてください。
- ✔「期待とのズレ」は適応検査と事前確認でかなり減らせる
- 検査で分かる自分の目の条件、費用に含まれる範囲、追加費用が出る場面。この3点を先に確認しておくと効きます。
- ✔症状のリスクは、公表されている発生率の数字で確かめる
- 体験談の印象ではなく、報告されている割合を見たうえで、自分が許容できるかを判断してください。
ICLの後悔は2種類|『症状による後悔』と『期待とのズレによる後悔』

ICLの後悔は、夜間の見えにくさなどの術後症状と、事前の期待とのズレの2つに大別されます。
この2つは原因も、減らし方も違います。自分の不安がどちらのタイプかを切り分けると、次にやることが見えてきます。
- ✔症状による後悔:手術後の見え方や目の状態に関わるもの
- ✔期待とのズレによる後悔:受ける前の思い込みや確認不足に関わるもの
前者は、体に起こりうる反応です。日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』は、有水晶体眼内レンズ手術の合併症を9項目挙げています。ハロー・グレア、術後一過性の眼圧上昇、白内障など。
後者は、手術の出来ではなく前提のズレから生まれます。老眼が出はじめる年代での見え方の期待、追加費用や保証範囲の思い込み。適応検査や術者選びを軽く済ませてしまうことも重なります。
ブログや知恵袋、noteの体験談はどれも本人の実感です。ただし感じ方には個人差があります。どのくらいの割合で起きるのかという数字と並べて読めば、必要以上に不安にならずに済むでしょう。
同ガイドラインも、長期予後になお不確定な要素があるとして慎重な適応選択を求めています。だからこそ、事前の検査と確認が効いてきます。
気になる体験談を見つけたら、鵜呑みにせず「自分の目でも起こりうるのか」を検査のときに聞いてみてください。質問メモを1枚作っておくと落ち着いて話せます。
ICLで後悔につながりやすい7つのリスクと、公表されている発生率

ICLで後悔の原因になりやすいのは7つです。見え方ではハロー・グレア、度数のズレやレンズの位置ずれ。目の状態では白内障、眼圧上昇、感染性眼内炎。ここに老眼と費用が加わります。
どれも学会や論文で頻度の目安が公表されており、確率として比べられます。ただし報告の規模や追跡期間によって、数字は変わります。
ICLの主なリスクと公表されている頻度の目安
| 項目 | 公表されている頻度の目安 |
|---|---|
| ハロー・グレア | 術後5年時点でグレアの報告72.7%/気になると答えたのは31.8%(22名44眼の観察研究) |
| レンズの位置ずれ | ICLの整復1.1%/レンズサイズ変更0.6%(177眼・平均6.3年の長期成績) |
| 白内障 | 旧モデル1.1〜5.9%/ホールICL 0.49%(学会公表)、長期成績では1.7% |
| 眼圧上昇・瞳孔ブロック | 25mmHgを超える眼圧上昇0%/瞳孔ブロック0%(同長期成績) |
| 感染性眼内炎 | 6000眼に1例ほど(学会公表) |
| 老眼(老視) | 頻度の問題ではなく加齢で誰にでも進む。適応年齢は原則21〜45歳 |
| 費用・追加費用 | 自由診療で全額自己負担。保証や再手術費の範囲は院ごとに異なるため要確認 |
ハロー・グレアが続く期間の目安や、気になるときの対策は、ICLのハローグレアを解説した記事で詳しく紹介しています。
1. ハロー・グレア|夜間の光がにじむ・ぎらつく
ハロー・グレアは、夜間の光が輪のようににじんだり、ぎらついて見えたりする症状です。対向車のライトや街灯で気づく人が多いもの。
日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)によれば、暗い場所で瞳孔がレンズの光学部より大きく開くと起こりやすくなります。多くは時間とともに気にならなくなるともしています。
数値の目安もあります。EVO ICLを受けた22名44眼を5年間追跡した観察研究(BMC Ophthalmology・2025年)の報告です。
術後5年時点でグレアを報告した人は72.7%。そのうちわずらわしいと感じていたのは31.8%でした。夜間運転に軽度の支障があるとしたのは18.2%です。
経過を見ると、グレアは術後1週間で大きく下がり、1か月以降は落ち着いた状態が続きます。術直後のにじみが、そのまま一生続くわけではありません。
なお、この研究は1施設・22名という小規模な報告です。数字は目安として受け止め、自分の場合どうかは検査結果とあわせて判断してください。
夜間の運転が多い人は、術前検査で瞳孔径を測ってもらいましょう。その結果を見ながら相談すると、見え方の見通しが立てやすくなります。
仕事で夜間走行が欠かせないなら、その事情も遠慮なく伝えてください。
2. 度数のズレ・レンズの位置ずれ|見え方が思ったのと違う
度数のズレは、狙った見え方に対して矯正が強すぎる(過矯正)または弱すぎる(低矯正)状態です。遠くは見えるのに手元がつらい、目が疲れやすいといった不満につながります。
乱視を矯正するトーリックレンズでは、レンズが回転して軸がずれると矯正効果が落ちます。位置ずれやサイズの不一致が疑われるときは、レンズを入れ直したりサイズを変更したりする対応が取られます。
頻度の目安もあります。ホールICL 177眼を平均6.3年追跡した長期成績(Frontiers in Medicine・2021年)では、ICLの整復が1.1%、レンズサイズの変更が0.6%でした。
気をつけたいのはお金の面。再手術やレンズ入れ替えの費用を保証でまかなえるかは、院ごとに扱いが違います。
公開情報だけでは判断できません(要確認)。契約前に、担当医や受付で条件を確かめてください。
3. 白内障|将来の水晶体への影響
白内障は、目のなかでレンズの役割をする水晶体が濁って見えにくくなる状態です。JSCRSによると、ICL後の白内障の発生は旧モデルで1.1〜5.9%。レンズ中央に穴があるホールICLでは0.49%と、モデルで差があります。
ホールICL 177眼の長期成績でも、白内障は1.7%と報告されています。
起こる仕組みには「ボールト」が関わります。ボールトとは、ICLの後面と水晶体前面のすき間のこと。理想の範囲は200〜800μmと報告されています。
このすき間が低すぎると、水晶体の前側が濁る前嚢下白内障につながることがあります。ボールトの高さは前房の深さ・瞳孔の大きさ・眼軸長に左右されるもの。だからこそ術前検査でのレンズサイズ選びが要になります。
JSCRSは、加齢で白内障になった場合もICLを抜いたうえで通常の白内障手術を受けられると説明しています。ICLを入れたら白内障の治療ができなくなる、という心配は当てはまりません。
4. 眼圧上昇・緑内障|手術当日と術後の見張りどころ
眼圧上昇は手術当日にもっとも注意が向けられる項目です。日本眼科学会のガイドラインは、術後に一過性の眼圧上昇が起こりうるとしています。
そのため手術日は、終了から2時間以上の経過観察が望ましいと定めています。当日すぐ帰れる前提で、予定を詰め込まないでください。
長い目で見た論点はボールトの高さ。すき間が高すぎると、目の中の水の出口である隅角がふさがり、緑内障のリスクになります。
頻度としては、ホールICLの長期成績で25mmHgを超える眼圧上昇は0%、瞳孔ブロックも0%と報告されています。
もうひとつ、術後に使う点眼ステロイドの影響で眼圧が上がる人もいます。自覚症状が乏しいまま進むこともあるもの。見え方が落ち着いたからと、自己判断で通院や点眼をやめないでください。
5. 感染性眼内炎|頻度は低いが最も注意が必要
感染性眼内炎は、目の内部に細菌などが入って炎症を起こす合併症です。JSCRSによると発生は6000眼に1例ほどで、頻度そのものは高くありません。
それでも警戒が必要なのは、視力への影響が大きくなりうるためです。同学会は、ICL手術で失明に至ることはまずないと述べています。ただし、ごく稀に術後の矯正視力が下がることもあり、その原因のひとつが感染症です。
術後に次のような変化が出たら、次回の検診を待たずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
- ✔ズキズキとした痛みが強まってきた
- ✔白目の充血が引かない、むしろひどくなる
- ✔いったん見えていたのに、急に視力が落ちた
予防としてできることはシンプル。処方された点眼を指示どおり続け、洗顔・入浴・メイク・プールなど生活面の制限を守ることです。この積み重ねが感染のリスクを下げます。
手術当日に、緊急時の連絡先と受付時間外の対応先をメモしておくと、いざというとき迷わず動けます。
6. 老眼(老視)|手元の見えにくさは別問題として残る
ICLが矯正するのは近視と乱視です。加齢によるピント調節力の低下(老視)は、手術後もそのまま進みます。
遠くがよく見えるようになっても、年齢とともに手元は見えにくくなる。そう考えておけば、期待とのズレを防げます。
日本眼科学会のガイドラインは、適応年齢を原則21〜45歳と定めています。老視年齢の患者には慎重に施術する、との記載もあります。
40代で検討している方は、この点を担当医とよく話し合ってください。
近視の強い人ほど、手元のつらさを自覚しやすい面もあります。眼鏡やコンタクトを外せば手元だけはよく見えていたからです。矯正後に「近くが見づらくなった」と感じやすくなります。
これは手術の失敗ではなく、老視がもとから進んでいた分が表に出たものと説明されます。
老眼が出てきたあとも打つ手はあります。老眼鏡を併用する、度数の調整やICLの抜去を含めて相談する。こうした選択肢を医師と検討できます。
7. 費用と追加費用|自由診療ゆえの負担と保証範囲の誤解
ICLは公的医療保険の対象外の自由診療で、費用は全額自己負担です。料金は各院が独自に設定するため、手術費に何が含まれるかも院ごとに違います。
乱視を矯正するトーリックレンズは、通常のレンズより10万円ほど高くなる傾向があります。実額は各院の公表料金でご確認ください(要確認)。
後悔につながりやすいのは、総額の見込みが甘かったケース。契約前に、次の項目が手術費に含まれるのかを一つずつ確かめましょう。
- 適応検査・術前検査の費用と、手術しなかった場合の扱い
- 術後検診の回数と、いつから有料になるか
- 度数ズレやレンズ交換が必要になったときの再手術費用
- 保証制度の期間と、対象になる症状・ならない症状
とくに保証は、「何年間・どこまで無料か」を口頭の説明だけで済ませないのが肝心です。案内資料や同意書といった文書で範囲を示してもらい、手元に残しておきましょう。
そもそもICLとはどんな手術か|「元に戻せる」という他にない特徴

ICLは、目の中(虹彩と水晶体のあいだ)に薄い眼内レンズを固定して、近視や乱視を矯正する手術です。
入れたレンズは目の中に留まるため、コンタクトレンズのような毎日の着脱や洗浄はいりません。
一方で、レンズを入れるには手術が必要です。コンタクトのように気軽に試して、合わなければやめるという性質のものではありません。日本で有水晶体眼内レンズが承認されたのは、2010年(平成22年)2月2日です。
角膜を削らないから、必要ならレンズを抜いて戻せる
ICLの大きな特徴は、角膜を削らず、必要になればレンズを抜いて手術前の状態に戻せる点です。
日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)は、ICLは何年経過しても眼内から摘出しやすいと説明しています。抜去した場合は、手術前と同じようにメガネやコンタクトで矯正できます。
強い近視にも対応しやすいのは、レンズで矯正する仕組みだから。近視の戻りが少なく、見え方が安定しやすい点も同じ理由によります。
レーシックとの違いは「削るか、入れるか」
レーシックが角膜を削って形を変えるのに対し、ICLは角膜には手を加えず、レンズを目の中に入れて矯正します。この違いから、適応の目安も別々に定められています。
ICLとレーシックの主な違い
| 項目 | ICL(有水晶体眼内レンズ) | レーシックなどのレーザー手術 |
|---|---|---|
| 矯正の方法 | 眼内にレンズを固定する | 角膜を削って形を変える |
| 元に戻せるか | レンズを抜去して戻せる | 削った角膜は元に戻らない |
| 年齢の目安 (日本眼科学会GL) |
原則21〜45歳 | 18歳以上 |
| 度数の目安 (同GL・ICL側) |
6D以上の近視。3D以上6D未満の中等度、15Dを超える強度近視は慎重に対応 | — |
合併症の内容も同じではありません。日本眼科学会のガイドラインは、レーザー手術の合併症にドライアイや不正乱視を挙げています。一方、有水晶体眼内レンズ手術の合併症一覧にこれらは入っていません。
ただしICLにも、目の中に器具を入れる手術ならではの経過観察が必要です。Kamiyaらの長期報告(2021年・177眼)では、角膜内皮細胞の減少率が6年ほどの追跡で3.6±7.0%でした。
どちらが向くかは、角膜の厚みや近視の強さ、眼内のスペースなど適応検査の結果で決まります。希望だけで選べる手術ではなく、検査で片方が適さないと判断されることもあります。
「どちらにするか」を先に決めて相談するより、検査で自分の目の条件を知ってから比べるほうが、迷いは少なくなります。
角膜を削るレーシックに眼科医が慎重になる理由は、眼科医がレーシックをしない理由を解説した記事で整理しています。
ICLが向いている人・向いていない人|ガイドラインの条件で確かめる

ICLが向いているのは、近視の度数が長く安定していて、原則21〜45歳の年齢に入る方です。日本眼科学会のガイドラインは、矯正量6D以上の近視を対象としています。
眼鏡やコンタクトレンズの装用が難しい、角膜が薄くてレーシックを受けにくい。こうした事情も検討のきっかけになります。
ICLが向いている人・慎重な検討が必要な人
| 向いている人 | 向いていない・慎重な検討が必要な人 |
|---|---|
| 近視や乱視の度数が安定している | 原則21〜45歳の範囲から外れる(特に老視年齢) |
| 6D以上の近視がある | 3D以上6D未満の中等度近視、または15Dを超える強度近視 |
| 眼鏡やコンタクトレンズの装用が困難 | 前房深度など眼の構造の条件が合わない |
| 角膜が薄いなどレーシックが難しい | 白内障や緑内障など、先に治療すべき眼の病気がある |
| 術後の定期的な通院を続けられる | 転居や仕事の都合で通院を続けにくい |
3D以上6D未満の中等度近視と、15Dを超える強度近視。この2つは、ガイドラインが慎重な対応を求める範囲です。年齢が老視にさしかかる場合も、水晶体の加齢変化をふまえて判断されます。
眼の構造も条件のひとつ。レンズと水晶体のすき間(ボールト)に余裕を取りにくい目では、別の矯正方法がすすめられることもあります。
最終的な判断は、必ず眼科での適応検査で行われます。表の項目は目安として、受診前の心づもりにお使いください。
検査で「適応外」と伝えられると落ち込みがちですが、これは目の状態と長い先の見え方を優先した判断です。落選ではなく、より合う方法を探す入口だと受け止めてください。
ICLで後悔しないための5つのチェックポイント

ICLの後悔は、手術前の確認と手術後の過ごし方で減らせる部分が大きいといえます。
レンズを入れる手術そのものより、適応の見極め・説明の受け方・通院の続けやすさに差が出やすいためです。
- ✔適応検査を先に受け、適応外という結果も想定しておく
- ✔術者がガイドラインの要件を満たしているかを確かめる
- ✔総額・再手術の扱い・検診回数を初診で質問する
- ✔術後半年の通院を続けられる距離かどうかで選ぶ
- ✔点眼と生活制限の指示を最後まで守り切る
1. 適応検査を先に受ける|『適応外』も想定して臨む
ICLを検討するなら、最初の一歩は適応検査で自分の目が条件を満たすか確かめることです。
検査では屈折度が安定しているか、度数、前房の深さ、角膜内皮の状態、眼底などを一通り調べます。
日本眼科学会のガイドラインは、屈折度が安定していることを前提に、6D以上の近視を適応としています。3D以上6D未満と15Dを超える強い近視には、慎重な判断が求められます。
適応外・慎重判断になりうる代表例
- 度数が適応の範囲から外れている
- 前房が浅いなど目の構造が条件に合わない
- 緑内障や網膜の疾患など治療を優先すべき病気がある
- 近視が進行中で度数が安定していない
検査前は一定期間コンタクトレンズを外す必要があります。角膜の形が元に戻らないうちに測ると、データがずれてしまうからです。
外す期間はレンズの種類や医療機関の方針で変わります。予約時に確認し、日程には余裕をみておきましょう。
「今回は見送りましょう」とはっきり伝えてくれる医師は、安全側に立って判断している、という見方もできます。断られたときこそ、その理由を聞いておきたいところ。
2. 術者と設備を確認する|ガイドラインが定める要件を知っておく
ICLの術者には、日本眼科学会のガイドラインで明確な要件が定められています。
同学会認定の眼科専門医であること。加えて、前眼部の生理や疾病、眼光学に精通していることが求められます。
さらに、学会が指定する屈折矯正手術講習会と、製造業者が実施する講習会の両方を受講している必要があります。片方だけでは足りません。
確認は、クリニック公式サイトの医師紹介ページから始めるのが手軽です。見ておきたいのは、専門医資格の記載・講習の受講歴・執刀経験の記載。
書かれていない項目があれば、初診のカウンセリングでそのまま質問して構いません。答えを渋られるなら、判断材料が足りないまま先へ進めないでください。
どの院が優れているかを外から比べるのは困難です。順位付けではなく、「要件を確認できたかどうか」で判断します。
3. 初診で必ず聞く質問リスト|総額・保証・検診回数
初診では、お金・やり直し・検診の3点を書面で確認しておくと、後からの認識のズレが起きにくくなります。
カウンセリングで聞くこと
- ✔レンズのサイズと度数は、どの検査データをもとに決めますか
- ✔度数のズレや位置ずれが起きた場合、再手術の費用負担と受付期間はどうなりますか
- ✔術後検診は何回・いつまでで、料金は提示された総額に含まれますか
- ✔夜間の見え方が気になる場合、どんな説明と対応をしてもらえますか
- ✔術後に不調が出たとき、連絡できる窓口と受付時間はどこですか
ガイドラインは、原則として術後6か月までの経過観察を求めています。検診が総額に入っているのか都度払いなのかで、最終的な出費は変わります。
口頭の説明だけで進めず、見積書や同意書といった書面に残してもらってください。
4. 通いやすさで選ぶ|地方在住なら術後検診の現実を考える
ICLのクリニック選びでは、術後半年の通院を無理なく続けられるかどうかが判断材料になります。
ガイドラインは、手術翌日に細隙灯顕微鏡での確認を求めています。その後は原則として、術後6か月まで経過を追います。
遠方の院を選ぶと、この通院が交通費と休みの取得としてのしかかります。
| 通院の負担 | 術後6か月までの検診に、片道の移動時間と交通費が何度かかるか |
| 緊急時の距離 | 強い痛み・充血・急な見えにくさが出たとき、当日中に着ける距離か |
| 遠方で受ける場合 | 術後の診察を自宅近くのどこで受けられるか、事前に取り決めがあるか |
地元が正解とも、都市部が正解とも一概には言えません。通院の負担と、術後に診てもらえる体制。この両面を並べて考えましょう。
お住まいの地域や通院できるエリアから比較したい方は、ICLクリニックを探す(地域から選ぶ)から、都道府県ごとの比較記事に進めます。
遠方の院を選ぶなら、術後の不調にどこが対応するのかを曖昧にしたまま契約しない。ここが線引きになります。
5. 術後の点眼と生活制限を守る|『手術が終わってから』が本番
手術が終わったあとの数か月は、処方された点眼と生活制限を指示どおり守る期間です。
見え方が良くなると点眼をやめたくなりますが、自己判断での中断は避けてください。
合併症には術後一過性の眼圧上昇やステロイド緑内障が含まれます。ステロイド点眼を使う間は、眼圧を管理するためにも診察を受けながら続けましょう。
洗顔・洗髪・化粧・プール・運動をいつから再開できるかは、医療機関の指示に従います。日数の目安は院ごとに異なるため、渡される説明書で要確認です。
痛み・強い充血・急な視力低下が出たときは、予約日を待たずに受診してください。
術後6か月までの検診を受け切ることが、小さな変化を早く見つける手立てになります。日程は手術前にカレンダーへ入れておくと抜けにくいでしょう。
手術が怖い・不安で決められないときの考え方

目に器具が触れる手術を怖いと感じるのは自然な反応です。怖さをなくそうとするより、不安を3つに分けて書き出すほうが、決められない状態から抜け出しやすくなります。
不安を分けて書き出す3つの軸
- ✔安全面:手術中の痛みや合併症、術後に起こりうる不調
- ✔見え方:夜間の光の見え方や、期待どおりの視力にならない可能性
- ✔お金:手術費用と、追加費用が発生する条件
漠然とした恐怖のままだと質問が出てきません。3つに仕分けると、診察で聞くべきことがそのまま質問リストになります。
安全面については、日本白内障屈折矯正手術学会が失明はまずないと説明しています。ただし、ごく稀に術後の矯正視力が低下する可能性はあります。
心理的な支えになるのは、レンズを取り出せるという点です。同学会は、抜去すれば手術前と同様にメガネやコンタクトレンズで矯正できるとしています。
日本眼科学会のガイドラインは、屈折矯正手術の長期予後になお不確定な要素があると記しています。だからこそ適応例は慎重に選ばれます。
迷いが残るなら、その迷いごと診察で相談して構いません。決断は適応検査のあとで大丈夫です。適応検査は目の状態を測るものであって、受けた時点で手術を予約したことにはなりません。
3つに分けたメモをスマホに残して、そのまま診察で見せるのが早道です。聞き漏らしも減ります。
ICLの費用と医療費控除|戻る金額をシミュレーションする

ICLは公的医療保険の対象外の自由診療で、手術費用は全額が自己負担になります。ただし医療費控除を申告すれば、実質の負担が下がる可能性があります。
医療費控除の計算式と還付額の目安
医療費控除額は、その年に支払った医療費 − 保険金などで補填される金額 − 10万円という式で計算します。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
戻ってくる金額そのものが控除額になるわけではありません。おおよその還付額は、控除額に自分の所得税率をかけたイメージでとらえましょう。
還付額の簡易シミュレーション(保険金による補填は0円と仮定)
| 年間の医療費 | 控除額 | 所得税率10% | 所得税率20% |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 40万円 | 約4万円 | 約8万円 |
| 70万円 | 60万円 | 約6万円 | 約12万円 |
この表はあくまで簡易的な試算です。実際の還付額は、所得や他の控除の状況で変わります。
対象になるもの・ならないもの、申告前の注意点
国税庁は、医師等による診療や治療の対価を医療費控除の対象と定めています。一方、近視などの屈折異常を矯正する眼鏡・コンタクトレンズの購入費は対象外です。
その処方や検査の費用も、視力を回復させる治療の対価には当たらないとしています。
なお、角膜を矯正して視力を回復させるオルソケラトロジーの治療費については、対象になるとされています。
ICLのような自由診療の扱いは、個別の事情で判断が変わることもあります。申告の前に、所轄の税務署か国税庁の案内でご確認ください。
- 手術費用や検査費用の領収書は、1年単位でまとめて保管する
- 通院の交通費は日付・区間・金額をメモに残す(電車やバスは領収書が出ないため)
- 生計を一にする家族の医療費は合算できるので、支払った分を一覧にしておく
領収書は手術当日の分だけでなく、術前検査や術後の検診分も残しておくと計算がラクになります。封筒を1つ決めて放り込んでおくと迷いません。
よくある質問
- Q. ICL手術の失敗率はどれくらいですか?
-
A. 「失敗率」という単一の数字は公表されておらず、合併症ごとの頻度で見るものです。
JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)のICL情報サイトでは、ホールICLでの白内障の発生が0.49%、眼内炎が約6000眼に1例と示されています(JSCRS)。
またKamiyaらの2021年の報告では、レンズの位置を整える処置が1.1%、サイズ変更が0.6%でした(Kamiya K ほか 2021)。いずれも医療機関や症例の条件で変わるため、目安として受け止めてください。
- Q. ICL手術で失明する可能性はありますか?
-
A. JSCRSは、ICLで失明することはまずないとしています。
ただし同サイトでは、ごく稀に術後の矯正視力が下がる可能性があり、その原因のひとつに感染症が挙げられると説明されています(JSCRS)。
目の痛みや急な見えにくさ、充血が出たときは、様子を見ずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。早く対応できるほど、選べる手立ても増えます。
- Q. ICL手術が失敗したらどうなりますか?やり直せますか?
-
A. 度数のズレや位置のずれには、レンズの整復・入れ替えという対応があります。
Kamiyaらの2021年の報告では、位置を整える処置が1.1%、サイズ変更が0.6%と示されています(Kamiya K ほか 2021)。JSCRSは、レンズは何年経っても摘出が容易で、抜去後は眼鏡やコンタクトレンズで矯正できるとしています(JSCRS)。
一方で再手術にかかる費用の扱いは医療機関ごとに異なります。契約前に保証の範囲を確認しておきましょう。
- Q. ICLをすると老眼が早くなるって本当ですか?
-
A. 老視は加齢によるピント調節力の低下で、誰にでも進んでいくものです。
ICLは近視や乱視を矯正する手術です。手術によって老視の進み方そのものが変わると示す一次情報は、私たちが確認した範囲では見つかっていません。
日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン第8版』は、有水晶体眼内レンズの適応年齢を原則21〜45歳とし、老視年齢では慎重に判断するとしています(日本眼科学会)。
- Q. ICLでドライアイになりますか?
-
A. 日本眼科学会のガイドラインが挙げる有水晶体眼内レンズ手術の合併症9項目に、ドライアイは含まれていません。
同ガイドラインでドライアイは、角膜を削るエキシマレーザー手術側の合併症として記載されています(日本眼科学会)。
とはいえ、術後しばらく使う点眼や、エアコン・パソコン作業といった環境で目の乾きを感じることはあります。気になるときは検診の場で伝えてください。
- Q. ICLとレーシック、後悔しにくいのはどちらですか?
-
A. どちらが優れているとは言えず、角膜の厚みや近視の強さなど検査結果で選ぶものです。
日本眼科学会のガイドラインでは、適応年齢が有水晶体眼内レンズは原則21〜45歳、エキシマレーザー手術は18歳以上と整理されています(日本眼科学会)。
矯正できる度数の範囲や、レンズを取り出せるという可逆性の有無も客観的な違いです。どちらが自分の目に合うかは、適応検査の結果を持って医師と話すのが近道になります。
レーシック側で起こりうる不調と対処法は、レーシックの失敗例を解説した記事で詳しく紹介しています。
- Q. 術後の検診はいつまで通う必要がありますか?
-
A. ガイドラインは、原則として術後6か月までの経過観察が必要としています。
日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン第8版』では、手術翌日に細隙灯顕微鏡で確認するとされています。その後は6か月まで経過を追い、さらにその先も一般的な検査のなかで長期の経過を見守ることが望ましいと記されています(日本眼科学会)。
実際の通院回数や検診が費用に含まれるかは医療機関ごとに違うので、申し込み前に確認してください。
- Q. ICLの費用は医療費控除の対象になりますか?
-
A. 国税庁は、医師等による診療や治療の対価を医療費控除の対象と定めています。
一方、眼鏡やコンタクトレンズの購入費は対象外とされています(国税庁 No.1122)。控除額は「支払った医療費 - 保険金などで補てんされる金額 - 10万円(所得により変動)」で計算します。
手術費用の領収書や交通費の記録は必ず保管してください。自由診療の扱いで迷ったときは、申告前に所轄の税務署か国税庁の案内で確認しましょう。
まとめ|後悔の多くは、検査と事前確認で減らせる
ICLの後悔は、術後の見え方の症状によるものと、期待とのズレによるものの2種類に分かれます。後者は、手術を決める前の情報のそろえ方でかなり減らせます。
起こりうる症状は「怖いかどうか」ではなく、公表されている発生率という確率で受け止める。そのうえで、年齢・度数・眼内の構造といったガイドラインの条件に照らして自分の向き不向きを確かめる。この順番です。
- ✔後悔は「症状によるもの」と「期待とのズレ」の2種類
- ✔リスクは印象ではなく公表されている発生率で把握する
- ✔向き不向きはガイドラインの条件で確かめる
- ✔費用は手術費だけでなく検査・術後検診まで含めて確認する
最初の一歩は、適応検査を受けて自分の眼のデータを知ることです。数値が手元にあると、医師との話も「一般論」から「自分の場合」に変わります。
検査を受けたからといって、手術を決めなければいけないわけではありません。合わないとわかることも、立派な収穫です。最終的な判断は、担当医から直接説明を受けたうえで行ってください。

