この頃はスマホを使う方が多くなり、目の疲れを感じて外来を受診される方も目立ちます。目の周りにはたくさんのツボがあり、目の疲れや眼精疲労に有効なものがあります。自分で押しやすいツボを紹介いたしました。それよりも大切なことも解説しています。
目の疲れは単純に同じ距離を長く見ることで、みえにくいとか、目の周りが重くなるなどといった症状がでることです。
眼精疲労とは、もう少し重いものと考えてください。目の疲れが慢性的になってしまって、頭痛や肩こり、さらにはうつ症状などを慢性的に生じる状態です。目の疲れがたまりにたまったというイメージです。
一般的に遠くが良く見えている人は遠くを見るときに目の力を使わないで済むようになっています。普通に眼鏡やコンタクトレンズを合わせた状態あるいはもともと目が良くて眼鏡を必要としない人と考えてください。そういった状態の人が、近くを見るときには、目の中にある毛様体筋という筋肉を緊張させてピントを近くに合わせる必要があります。筋肉ですので、使いすぎると疲れてしまいます。それが目の疲れという症状として起きるものです。目が重い、見えにくい、肩こりがする、頭痛が起きる、肩がこるなどといった症状もともに起きます。
毛様体筋の力は年齢ともには変わらないといわれていますが、目の中のレンズの働きをする水晶体が硬くなってきます。これが老眼の原因で、近くを見るのがつらくなってきたり、見えにくくなるというものです。
そこで、眼科医が推奨する眼の疲れに効くツボを紹介したいと思います。
晴明や太陽というツボが有名です。晴明は目の内側やや上方のくぼんだ部分で、円を描くように1分程度押しましょう。太陽は眉尻と目じりの間にあるくぼみの部分です。1分くらい軽く押すようにするとよいです。
風池というつぼは後ろ髪生え際から親指の横幅一本分上にあるへこんだところを10-20秒くらいを2-3回繰り返しやさしく押すと目の疲れや緊張性頭痛などに効果があります。
眼球体操は眼科的にはあまり推奨しておりません。特に意図的に激しく目を動かしたりすると目の中にある硝子体というゼリー状物質が揺さぶられることで、網膜という神経の膜を引っ張り、網膜裂孔や網膜剥離につながることがあるためです。どうしても動かしたい場合にはゆっくり1-2週動かす程度にしてください。
ツボを押すと、ツボ押しそのものによる血流改善やストレスの低減効果があります。しかし、一番のメリットとして、普通ツボを押している間はパソコンやスマホを集中してみないと思います。この、デジタルデバイスを見ないということも目の疲れ対策にはとても有効です。パソコンで仕事をしている場合でも、1時間したら5分でもよいので、ツボを押しながら目を閉じたり、遠くの緑をみたりして目を休めることで、目の疲れや眼精疲労を予防できます。お金がかからず、メリットの多い手段といえます。