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ICLのデメリット10項目|起こる時期・続く期間・対処法を一覧で解説

※この記事にはプロモーションが含まれています。

目の中にレンズを入れると聞くと、期待よりも先に「後で困ることはないのかな」という不安が浮かびますよね。

  • 「デメリットを全部知ってから決めたい」
  • 「白内障や緑内障になるという話は本当?」
  • 「困ったことが起きても、事前に分かるものなの?」

ICL(眼内コンタクトレンズ)のデメリットは、見え方の質・目の健康リスク・費用と制度・適応の4つに分けられます。数にすると10項目です。

どの症状が、いつ起きて、どのくらい続き、どう対処できるのか。手術前の検査で見通せるのかまで、出典つきで確認していただけます。

この記事の結論

  • デメリットは4カテゴリ10項目に整理できる
  • 性質ごとに分けると、自分に関係する項目が見えてきます。
  • 多くは術前検査と定期検診で見通しを立てられる
  • ガイドライン第8版は、術後6か月まで経過観察を行うとしています。
  • 老眼や将来の近視進行は、手術では避けられない
  • 条件に合うかどうかは、適応検査で確認するのが確実です。

ICLのデメリットは4つに分けて考えると整理できる【10項目の早見表】

ICLのデメリットは、見え方の質・目の健康リスク・費用と制度・適応の4つに整理できます。

ICLは角膜を削らず、眼内に小さなレンズを入れて近視や乱視を矯正する日帰り手術です(日本眼科学会)。そのぶん気になる点も、見え方の話と目の健康の話が混ざりやすくなります。

デメリットは「見え方」「健康リスク」「費用」「適応」の4つに分けられる

4つの軸は、気になる点を性質ごとに仕分けたものです。性質ごとに分ければ、自分の目に関係するのはどれかを落ち着いて選り分けられます。

それぞれの軸に入るもの

  • 見え方の質/光のにじみや度数のずれなど、見えるようになった後に気になるもの
  • 目の健康リスク/白内障や眼圧上昇など、学会が合併症として挙げているもの
  • 費用と制度/自由診療ゆえの負担と、再手術が必要になったときのお金の話
  • 適応とタイミング/年齢・目の条件・老眼といった、受ける前に決まっているもの

日本眼科学会は、有水晶体眼内レンズ(ICL)の合併症を挙げています。白内障、一過性眼圧上昇、緑内障、ハロー・グレア、角膜内皮細胞障害、網膜剝離、眼内炎などです。

ICLのデメリット10項目 早見表

10項目は、術直後から数日で表れるものと、数年たってから問題になるものに分かれます。

ICLのデメリット10項目 早見表

デメリット 起こりやすい時期 続く期間の目安 主な対処法 術前に分かるか
ハロー・グレア
(夜間の光のにじみ)
術直後から 多くは時間とともに軽減 経過観察/夜間運転は慣れるまで慎重に 瞳孔の大きさから一部推測
過矯正(遠視化)による疲れ目 術後の早い時期 度数を調整するまで 医師と相談してレンズ度数を見直す 完全には予測できない
乱視用レンズの回転 術後の経過観察中 位置を戻すまで 位置を戻す処置やレンズの入れ替え 事前には分からない
近視の再進行 数年後 進行が続く間 メガネなどで再び矯正する 度数の安定具合から一部推測
白内障(水晶体の濁り) 数年〜十数年後 濁りは自然には戻らない 進行すれば白内障手術で対応 定期検診で早めに把握
一過性の眼圧上昇・緑内障 術直後〜数日 一時的なことが多い 点眼の調整と眼圧の経過観察 術前の眼圧検査で一部把握
角膜内皮細胞の減少 術後から長期にわたり 減った分が戻ることは期待できない 定期検査で細胞の密度を確認 術前の角膜内皮細胞検査
眼内炎などまれだが重い合併症 術後数日以内が中心 治療が終わるまで 異変を感じたらすぐ受診する 事前には分からない
費用と再手術の自己負担 手術前・トラブル発生時 保証の範囲によって変わる 保証内容の事前確認と医療費控除 事前に確認できる
適応の条件と老眼 検査時・40歳前後から 加齢とともに続く 適応検査で判断し、近くを見る矯正を併用 適応検査で分かる

時期を読むときの目安もあります。JSCRSの解説では、目の状態は術後3か月程度で安定すると説明されています。

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』も、術後6か月までの経過観察を原則としています。術直後の見え方が、そのまま一生続くわけではありません。

なお、発生する割合が公表されていない項目もあります。表は起こりうることを並べたもので、すべての人に起きるわけではありません。

見え方の質に関するデメリット(4項目)

見え方の質のデメリットは4つあります。ハロー・グレア、過矯正による遠視化、乱視用レンズの回転、近視の再進行です。

どれも「見えるようにはなったのに、見え方が気になる」タイプの悩みです。起こる時期も、続く期間も違います。

前提として、目標とした度数にどれだけ近づくかというデータがあります。JSCRSワーキンググループの前向き多施設共同研究(2015年・国内42主要施設・ICL1319眼)です。

目標屈折度数に対して、±0.5D以内が88%、±1.0D以内が99%という結果でした。国内45主要施設・1001眼のアンケート調査(2014年)では、レンズ交換を要した症例が1.0%です。

① ハロー・グレア(夜間の光のにじみ・光の輪)

ハロー・グレアは、夜間に光の周りが輪のように広がったり、光がにじんで見える症状です。

JSCRSは、暗い場所で瞳がICLのレンズ部分より大きくなったときに感じることがあると説明しています。つまり夜間の暗い場所で自覚しやすい症状です。

続く期間の手がかりになる研究があります。EVO ICL後のグレアと瞳孔を5年間観察したものです(BMC Ophthalmology 2025年)。

対象は上海の22名44眼、平均年齢は25.3±5.4歳。グレアは術後1週間で有意に低下し、1か月以降は安定しました。

術後5年時点でグレアを報告したのは72.7%。そのうち気になると答えたのは31.8%で、いずれも軽度でした。

夜間運転に軽度の問題があったのは18.2%です。ただし22名という少人数を追った結果である点は差し引いて読んでください。

JSCRSも、ハローで夜間見えづらいと訴える人は少ないと述べています。時間とともに気にならなくなる例が多いという説明です。

暗いところでの瞳孔の大きさ(瞳孔径)は術前検査の項目に含まれます。感じやすさの目安は、手術前にある程度つかめます。

編集部

編集部
 
 

夜間の運転が多い方は、カウンセリングで瞳孔径の測定値を聞いておくと判断の材料になります。気になる見え方が残るときは、検診でご相談ください。

② 過矯正(遠視化)による眼精疲労・老眼の自覚

過矯正とは、必要以上に強く矯正されて軽い遠視寄りになる状態です。

JSCRSは、過矯正(遠視)になると早い段階で老眼を自覚すると説明しています。眼精疲労や頭痛も起こりやすくなる点にも触れています。

遠くはよく見えるのに、近くを見ると疲れる。そんな形で気づくこともあります。

対処は、ICLの交換手術で適正な度数に変更する方法です。度数の精度は先のデータのとおりで、交換はずれが残ったときの選択肢になります。

③ 乱視用(トーリック)ICLの回転による効果の低下

乱視矯正用のICLは乱視の軸に合わせて眼内に置きますが、稀にその位置から回転します。

JSCRSによれば、乱視矯正ICLは生体適合性が高く癒着を起こしません。そのため稀に眼内で回転し、回転した分だけ乱視矯正の効果は弱まります。

対処は、位置を戻す整復手術です。それでも回転する場合は、サイズの大きいICLに入れ替える手術が必要になることもあります。

背景にあるのが、レンズと水晶体の間隔を指すボールト(vault)と、レンズサイズの選択です。

この間隔が適切に保たれるかどうかは、レンズの回転だけの話ではありません。白内障・眼圧上昇・レンズの入れ替えという別のデメリットにも共通してつながる背景です。

回転するかどうかは手術前に確定できるものではなく、術後の経過観察で確認します。

④ 近視の再進行(手術で近視の進行は止まらない)

ICLは、その時点での近視・乱視を矯正する手術です。近視の進行そのものを止めるものではありません

JSCRSは、矯正して1.5になっても生活習慣などで近視が進むと指摘しています。3〜4年後に0.7以下まで視力が下がる例もよくあるという説明です。

起こるとすれば手術から数年後で、日常の中で少しずつ進むタイプの変化です。どれくらい進むかを手術前に見通すのは難しく、術後も定期検査で視力の変化を追います。

目の健康リスクに関するデメリット(4項目)

ICLで挙げられている目の健康リスクは4つです。白内障、眼圧上昇と緑内障、角膜内皮細胞の減少、眼内炎などの重い合併症にあたります。

一方で、国内42主要施設が参加したJSCRSワーキンググループの前向き多施設共同研究(2015年・ICL1319眼・3か月経過観察)の報告もあります。感染症や白内障進行などの重篤な術後合併症は、全例で認められませんでした。

数値を読むときは、レンズの世代と観察期間もあわせて確認してください。

① 白内障(水晶体の濁り)

ICL後の白内障は、使われるレンズの世代によって報告されている割合が大きく違います

JSCRSが示す報告値は、中心部に孔のない以前のモデルで1.1〜5.9%。中心に孔があり房水の流れが保たれる現在主流のホールICLでは0.49%です。

レンズの世代による報告値の違い(観察期間が異なるため単純比較はできません)

項目 旧モデル(中心孔なし) ホールICL(現在の主流)
白内障の報告値 1.1〜5.9%
(母集団・観察期間の記載なし)
0.49%
(母集団・観察期間の記載なし)
水晶体混濁 54.8%
(78例133眼・1998〜2004年手術・観察期間10年
公表データなし
白内障手術に至った割合 18眼(18.3%)
観察期間10年
0%
(Packer M. 2018年のメタアナリシス。観察期間は出典に明記されていません

※最下段は、旧モデル側が観察期間10年の成績であるのに対し、ホールICL側の観察期間は出典から特定できません。同じ土俵の比較ではないため、「ホールICLなら白内障手術が起きない」という意味ではありません。

旧モデルの10年成績は、スイスの眼科病院の研究によるものです。1998年1月〜2004年12月に手術した78例133眼を追跡しました(JAMA Ophthalmology 2016年3月3日オンライン版)。

起こる時期は、加齢によるものも含めると術後数年から10年単位。JSCRSによれば、加齢で白内障になった場合はICLを抜去したうえで通常と同じ白内障手術を受けられます。

② 一過性の眼圧上昇と緑内障

眼圧上昇は、術後の早い時期に一過性で起こることがあります

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版・2024年)』も、これを合併症に挙げています。術後一過性眼圧上昇、ステロイド緑内障、閉塞隅角緑内障の3つです。

ステロイド点眼に関連した眼圧上昇も項目に含まれます。点眼の指示と検診の予定を守ることが、そのまま対処につながります。

JSCRSは、ICL術後に長期で緑内障のリスクが高くなることはないと述べています。一方で術前から緑内障がある人は視野欠損が悪化する可能性があるとも指摘しています。

もともと近視が強い人は、緑内障の発症リスクが高いことも分かっています。緑内障の有無や眼圧は、術前の検査で確認できる項目です。

③ 角膜内皮細胞の減少

角膜内皮細胞は、角膜の透明さを保つはたらきを担う細胞です。一般に再生しないとされ、減った分が元に戻ることは期待できません。

ホールICLのメタアナリシス(Packer M. Clin Ophthalmol. 2018年)があります。角膜内皮細胞密度の減少率は2.6%でした。

同解析の安全係数は4196眼・平均観察期間14か月が対象で、より長期の数値は示されていません。

減少は自覚症状として現れにくく、気づかないうちに進むことがある点が難しいところ。

術前の角膜内皮細胞検査で密度を確認でき、手術を受けられるかの判断材料になります。術後は定期検診で測定します。

④ 眼内炎などまれだが重い合併症

眼内炎は、頻度がごく低い一方で起きたときの影響が大きい合併症です。

JSCRSによれば、ICL術後の感染(眼内炎)は6000眼に1例ほどの割合。適切に処置をすれば重篤になることは稀とされますが、母集団の詳細は示されていません。

ただし眼内炎を起こすと、ICLの摘出が必要になったり、最悪の場合は失明に至ることもあります。起こりやすいのは手術後の早い時期です。

ガイドライン第8版には、網膜剝離や近視性網脈絡膜萎縮、光視症も合併症として挙げられています。

また、術後に強く目を打撲すると、ICLが固定位置から外れることがあります。その場合は速やかな整復手術が必要です。

これらが起きる時期を事前に言い当てるのは困難です。痛み・充血・急な見えにくさを感じたら、自己判断せず受診してください。

編集部

編集部
 
 

次の検診まで待つべきか迷う、というご相談はよくいただきます。痛みや急な見えにくさだけは例外と考えて、その日のうちにご連絡ください。

費用と制度のデメリット(自由診療・追加費用・保証の範囲)

ICLの費用面のデメリットは、公的医療保険が使えず、原則として全額が自己負担になることです。

価格は各院が自由に設定できるため、同じ手術でも総額に差が出ます。JSCRSも、清潔な手術環境や器械・スタッフが必要な分、レーシックより費用が高くなると説明しています。

① 自由診療で高額になり、乱視・強度近視の加算で総額が上がる

基本料金だけで見積もると、実際の支払額とずれます。乱視用レンズや強い近視には、別途の加算が設定されているためです。

加算と保証の例(2026年8月9日閲覧・各院公式ページより/いずれも税込)

項目 先進会眼科(大阪梅田) 品川近視クリニック
基本費用(両眼) 427,000円(-3D未満の近視・術後点眼薬含む) 40.7万円〜(-4D未満/表示は37万円〜)
乱視用レンズ 片眼 +49,000円(強度乱視用は +137,000円) 両眼 +10万円
強い近視の加算 片眼 +76,500円(-3D以上) 両眼 +11万円(-4D以上)
保証・術後検診 術後検診は3年間まで無料 保証期間3年

片眼あたりで設定された加算は、両眼で受ければその倍が上乗せされます。遠視用レンズや虹彩切除術のように、目の条件によって加わる項目もあります。

2026年8月時点で私たちが各院の公開料金を確認した範囲では、総額は両眼でおおむね46万〜80万円でした。全国の全施設を網羅した調査ではないため、幅のある目安として見てください。

差が生まれる主な理由は、レンズの種類・保証の範囲・施設の方針です。内訳はICLの費用は総額いくらかを両眼の相場と内訳から解説した記事で整理しています。

ただしJSCRSは、過剰なコスト削減や低価格の手術は安全性の低下につながる危険性があると注意を促しています。金額の比較だけで決める選び方は避けたいところです。

② トラブル時の追加費用は「保証の範囲」で変わる

レンズの入れ替え・整復・抜去が必要になったとき、その費用が自己負担になるかは各院の保証しだいです。

保証期間や無料検診の範囲も院ごとに違います。上の例でも「術後検診は3年間まで無料」「保証期間3年」と記載が異なります。

対象となる処置の範囲までは、公式ページから読み取れません(要確認)。確認しておきたいのは、次の3点です。

  • 保証の対象になる処置(入れ替え・整復・抜去)の範囲
  • 保証期間の長さと、期間を過ぎた場合の費用の扱い
  • 無料で受けられる術後検診の回数と期限

通院費も見落としがちです。JSCRSが示す通院の目安は、手術翌日・1週間後・1か月後・3か月後・6か月後・1年後となっています。

その後も1年に1度程度の定期検査がすすめられています。遠方の院を選ぶと、そのたびの交通費と移動の負担が積み上がります。

③ 緩和策:ICLは自由診療でも医療費控除の対象

ICLの手術費用は、自由診療でも医療費控除の対象です。確定申告をすれば、支払った医療費に応じて税の負担が軽くなる可能性があります。

医療費控除の計算(国税庁 タックスアンサーNo.1120)
  • 控除額=(実際に支払った医療費の合計-保険金などで補填される金額)-10万円
  • その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5パーセント
  • 控除額は最高200万円まで

戻ってくる金額は課税所得や税率によって変わるので、あくまで目安として考えてください。対象になるのは「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」です。

申告の考え方や実質負担の見方は、ICLの保険適用と医療費控除・実質負担を解説した記事にまとめています。

適応とタイミングのデメリット(年齢・目の条件・老眼)

ICLには受けられる条件があり、希望しても適応外と判断される場合があります

関わるのは年齢・度数・目の状態・妊娠授乳の有無など。条件を満たしていても、老眼そのものは矯正できません。

年齢と度数の条件で、対象になる人が絞られる

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』は、有水晶体眼内レンズ手術の適応年齢を原則21〜45歳と定めています。

屈折矯正量は6D以上の近視が原則です。3D以上6D未満の中等度近視と、15Dを超える強度近視には慎重に対応します。

JSCRSによれば、以前は-6D以上だった近視の度数が、2019年2月の改訂で要慎重ながら-3D以上に緩和されました。

  • レンズ度数の規格は-1.0〜-18.0D
  • 乱視は4.5D以内
  • 近視度数が少なくとも1年、できれば1年半以上安定していること

JSCRSは18歳以上(未成年は親権者の同意が必要)も条件に挙げています。近視がまだ進んでいる時期は対象になりません。

目や体の条件で、受けられない・慎重になる場合がある

JSCRSは「ICLに向いていない方」として、目の内側のスペースや持病、妊娠授乳中といった条件を挙げています。

  • 前房深度(角膜の裏側から水晶体までの距離)が2.8mmより浅い
  • 進行性の円錐角膜がある
  • 白内障・緑内障・ブドウ膜炎などの目の病気がある
  • 通常の目薬では治らないような重度のドライアイがある
  • 傷の治りに影響する重症の糖尿病やアトピー性疾患がある
  • 妊娠中・授乳中である

これらに当てはまらなくても、ガイドライン第8版が「実施に慎重を要するもの」として挙げる条件に該当することがあります。

老眼は矯正できず、加齢による変化も止められない

ICLは近視・乱視を矯正する手術で、老眼を矯正するものではありません。

JSCRSによれば、老眼は6歳頃から徐々に進み、40歳を過ぎた頃に自覚します。手術を受けても、この変化は同じように進みます。

一方で、近視矯正手術によって早く老眼になることは「決してそのようなことはない」とも説明されています。

50歳以上で手術を受ける場合は、加齢による白内障で視力が下がり、ICLの恩恵を受ける期間が短くなることもあると述べています。

取り出せるとはいえ、抜去にも手術が必要

ICLは摘出できる術式ですが、取り出す行為そのものが手術です。気軽に外せるコンタクトレンズとは性質が異なります。

ここまでの条件は、あくまで学会が示す一般的な目安。自分が当てはまるかどうかの最終的な判断は、適応検査を受けたうえでの医師の診察になります

数値が境界に近い場合ほど、検査結果を見ながら相談する価値があります。

デメリットは手術前に分かる?術前検査13項目との対応表

ICLのデメリットは、術前検査である程度まで見通せるものと、受けてみないと分からないものに分かれます

白内障や眼圧、角膜内皮細胞、適応の可否は前者に近い側です。

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』では、有水晶体眼内レンズ手術の術前スクリーニングは13項目。内訳は、エキシマレーザー手術の11項目に2つを加えた形です。

11項目は視力・屈折値・角膜曲率半径・細隙灯顕微鏡・角膜形状・角膜厚・涙液検査・眼底・眼圧・瞳孔径・角膜径。加わるのは、角膜内皮細胞検査と前眼部画像解析(前房深度を含む)です。

心配なデメリットと術前検査13項目の対応

心配なデメリット 関係する術前検査 その検査で分かること 分からないこと
白内障・眼圧上昇 前眼部画像解析(前房深度)/眼圧/細隙灯顕微鏡 前房の深さ(2.8mmより浅くないか)、水晶体や隅角の状態、手術前の眼圧の高さ 手術後に眼圧がどう動くか、何年後に水晶体が濁るか
角膜内皮細胞の減少 角膜内皮細胞検査 手術前の細胞密度と、そこからどれだけ余裕があるか 手術後の減り方の個人差
ハロー・グレア 瞳孔径 暗い場所で瞳孔がどこまで広がるか(レンズの光学部との関係) 実際にどの程度まぶしく感じ、気になるかという感じ方
乱視用レンズの選択 屈折値/角膜曲率半径/角膜形状 乱視の量と向き、円錐角膜の疑いがないか 眼内でレンズが回転するかどうか
そもそも適応かどうか 視力/屈折値/眼底/角膜厚/角膜径/涙液検査 度数がレンズの規格に収まるか、眼底や角膜、涙の状態に手術を妨げる所見がないか 将来の近視の進み方や加齢による変化

事前には分からないデメリットもある

検査で数値が分かっても、次の3つは手術前に確定できません。

  • 夜間の光のにじみをどのくらい気にするかという感じ方の個人差
  • 乱視用レンズが眼内で回転するかどうか(術後の経過観察で確認する)
  • 手術後の近視の進み方や、加齢にともなう見え方の変化

検査を受ければ心配がすべて消える、という話ではありません。分かる部分を数値で把握し、残りは定期検診で追います。

「慎重を要する」と言われたときの考え方

ガイドライン(第8版)が慎重な実施を求めるのは、緑内障・全身性の結合組織疾患・ドライアイの3つです。

矯正視力が比較的良好で進行していない軽度の円錐角膜と、その疑いがある場合も同じ扱いになります。

これらに当てはまっても、受けられないと決まるわけではありません。検査結果をもとに医師と相談して判断する領域だと考えてください。

編集部

編集部
 
 

表の「分からないこと」の欄に先に目を通して、自分に当てはまりそうな項目に見当をつけておくと、診察での相談がしぼり込めます。

デメリットがあってもICLが選ばれる理由|レーシック・コンタクトとの比較

ICLが選ばれる理由は、角膜を削らずに矯正でき、レンズを摘出すればメガネやコンタクトでの矯正に戻せるとされている点にあります。

JSCRSも、ICLは何年経過しても眼内から摘出しやすいリバーシブルな術式だと説明しています。

とはいえ、角膜を削る方法、目の中にレンズを入れる方法、毎日つけ外しをする方法では、負担のかかり方がそれぞれ違います。

ICL・レーシック・コンタクトレンズの比較

項目 ICL レーシック(LASIK) コンタクトレンズ
角膜を削るか 削らない 角膜を削って形を変える 削らない
元に戻せるか 摘出すれば、手術前と同様にメガネやコンタクトで矯正できる状態に戻せるとされる 削った角膜は元に戻せない 外せばいつでも戻せる
強い近視への対応 レンズの度数の範囲で矯正(可否は適応検査で判断) 角膜の状態によって適応が決まる 度数の範囲で矯正できる
ドライアイとの関係 ガイドラインの術後合併症9項目には含まれない
※乾燥感が出ないという意味ではありません。前眼部の手術全般で涙の状態は影響を受けます
ガイドラインの術後合併症に明記されている 装用中に乾きを感じることがある
日々の手入れ 不要 不要 毎日の着脱と洗浄・交換が続く
費用の性質 手術時にまとまった費用がかかる 手術時にまとまった費用がかかる 使い続けるかぎり費用が続く
主なデメリット ハロー・グレア、眼内手術にともなう合併症 元に戻せない、ドライアイ 手入れの手間と費用が続く

「取り出せる」という選択肢が残る

術後に問題が生じたり、期待した視力が得られないこともあります。その場合はレンズを抜去すれば、手術前と同様にメガネやコンタクトレンズで矯正できる状態に戻せるとJSCRSは説明しています。

加齢で白内障になったときも、抜去したうえで通常の白内障手術に進めます。

角膜を削る方法では、削った角膜を元の形に戻せません。将来の選択肢を残しておきたい人にとって、この差は判断材料になります。

ドライアイの扱いは矯正方法で違う

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』では、エキシマレーザー手術(PRK・LASIK)の術後合併症にドライアイが明記されています。有水晶体眼内レンズ手術の9項目には含まれていません。

ただし『ドライアイ診療ガイドライン』(2019年)の指摘もあります。涙液層破壊時間の低下は、前眼部手術全般で誘発される可能性が高いという内容です。

JSCRSも、手術時の消毒や術後点眼などの影響で、術後1か月程度は乾燥感を感じることがあると説明しています。あわせて、保湿用の点眼で症状の緩和が期待できるとも述べています。

編集部

編集部
 
 

デメリットの数だけを見比べると、どうしても不安のほうが大きく見えてしまいます。「自分は何を優先したいのか」を決めてから表を眺めると、迷いが少し減るはずです。

毎日の手入れの手間をなくしたい人や、角膜を削らない方法を選びたい人には、ICLが選択肢に入ります。

一方、費用の負担を抑えたい人や目の条件が合わない人には、メガネやコンタクトレンズを続ける判断も現実的です。

後悔を減らすために確認しておきたい5つのチェックポイント

後悔を減らすために確認したいのは、検査数値・執刀医の資格・保証の範囲・通院の続けやすさ・費用の決め方の5点です。

いずれもカウンセリングの場でそのまま質問できます。

手術を決める前に確認したいこと

最初に押さえるのは、自分の目の数値と、執刀する医師の資格です。

1.術前検査の数値を説明してもらう
前房深度、角膜内皮細胞密度、瞳孔径、眼圧は、自分の目の条件を知る材料になります。数値そのものと、その読み方をセットで確認しておきましょう。分からない項目はその場で聞いて構いません。控えておくと、別の医療機関で相談するときにも話が早く進みます。
2.執刀医がICL認定医かを確認する
JSCRSによれば、ICLの執刀には日本眼科学会の屈折矯正講習会への参加と、メーカーのライセンス承認が必要です。担当医の資格は、遠慮なく質問してよい項目です。

クリニックを決める前に確認したいこと

クリニック選びで差が出るのは、保証の範囲・通院の続けやすさ・費用の決め方の3点です。

3.保証の範囲を書面で確認する
レンズの整復・入れ替え・抜去が保証に含まれるか、期間は何年か、無料の検診はどこまでかを確かめます。記載が見当たらない項目は「要確認」として書面で聞き直しておきましょう。
4.術後の通院を最後まで続けられるか考える
検診は手術翌日から1年後まで続き、その後も定期検査がすすめられています。通院にかかる距離や仕事の都合まで含めて見積もっておきたいところです。
5.価格の安さだけで決めない
JSCRSは、過剰なコスト削減や低価格の手術は安全性の低下につながる危険性もあるので注意しましょう、と述べています。加算を含めた総額と保証の範囲を、あわせて見比べてください。

術後に強い痛みや見え方の異常を感じたときは、自己判断で様子を見ずに受診してください。術後の感染症はまれでも、起きた場合は早期発見・早期治療が要になるとJSCRSは説明しています。

ICLのデメリットに関するよくある質問

Q. ICLのデメリットは老眼ですか?

A. ICLは老眼を矯正する手術ではないため、加齢による近くの見えにくさは術後も進みます。

JSCRSは、近視矯正手術で早く老眼になることは「決してそのようなことはない」としています。老眼は6歳頃から徐々に進み、40歳を過ぎた頃に自覚します。
ただし強く矯正しすぎて過矯正(遠視)になった場合は、早い段階で老眼を自覚しやすくなると説明されています。
Q. ICLで白内障になる確率はどのくらいですか?

A. JSCRSは、中心孔のない旧モデルで1.1〜5.9%、現在主流のホールICLで0.49%と示しています。

母集団や調査年の記載がないため、幅のある目安として受け止めてください。
Q. ICLで緑内障になるリスクはありますか?

A. 術後に一過性の眼圧上昇が起こる可能性があります。

日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』でも、術後一過性眼圧上昇およびステロイド緑内障、閉塞隅角緑内障が合併症に挙がっています。
一方でJSCRSは、術後に長期的な緑内障リスクが高くなることはないと述べています。ただし近視が強い人はもともと緑内障の発症リスクが高いため、注意が必要です。
Q. ICLとレーシックではデメリットがどう違いますか?

A. 角膜を削るかどうかで、残るデメリットの種類が変わります。

レーシックは角膜を削るため元に戻せません。ガイドライン第8版では、エキシマレーザー手術の術後合併症にドライアイが明記されています。
ICLは角膜を削らずレンズを摘出できますが、眼内の手術です。眼内炎・白内障・眼圧上昇などが合併症に挙げられ、費用もレーシックより高くなる傾向があります。
Q. ホールICLにもデメリットはありますか?

A. ホールICLでもデメリットがなくなるわけではありません。

レンズ中央の微小な穴によって房水の流れが術前と同じように保たれるため、白内障の発生率は0.49%と報告されています。
それでもハロー・グレア、眼内炎、乱視用レンズの回転は残ります。
Q. ICLを入れたあと、将来白内障になったらどうなりますか?

A. まずICLを抜去したうえで、通常と同じ白内障手術を受けられると、JSCRSは示しています。

抜去にも手術が必要で、その費用が保証に含まれるかは院ごとに異なります。

まとめ|デメリットを分類して見れば、自分に当てはまるかが分かる

ICLのデメリットは、見え方の質・目の健康リスク・費用と制度・適応とタイミングの4つに分けると、自分に関係するものが絞り込めます。

  • 見え方の質は、ハロー・グレアや過矯正、乱視用レンズの回転が中心
  • 目の健康リスクは、白内障・眼圧上昇・角膜内皮細胞の減少・眼内炎
  • 費用は自由診療で全額自己負担。加算と保証の範囲で総額が変わる
  • 適応は原則21〜45歳。前房深度が浅い場合などは受けられないことも
  • 老眼と将来の近視の再進行は、ICLで止められるものではない

これらの多くは、術前検査13項目と術後の定期検診でおおよその見通しを立てられます。一方で、レンズの回転やハロー・グレアの感じ方のように、経過を見ながら確認していく部分も残ります。

数値ではなく気持ちの面で迷いが残るなら、ICLはおすすめしない?後悔しないために知るデメリットと向かない人の特徴で、向かない人の特徴と照らし合わせてみてください。

受けられるかどうかを決めるのは、適応検査の結果と医師の診察です。まずは自分の目の条件を数値で確認するところから始めてみてください。

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