「乱視があるとICLは受けられないのでは」「乱視用だと費用がかなり上乗せされそう」と、検索しながら迷っていませんか。強い乱視ほど、不安は大きくなりがちです。
結論として、乱視があっても乱視用のトーリックICLで矯正を目指せます。ただし受けられるかどうかは、度数や乱視の原因によって検査で決まります。
この記事では、乱視でICLを検討している方とご家族に向けて、費用・見え方・リスク・適応の違いを出典つきで整理しました。医学的な効果や安全性は断定できないため、最終判断は医師の診察が必要である点を先にお伝えします。
この記事でわかること
- ✔乱視用トーリックICLと通常ICLの違い
- ✔乱視用で追加費用がいくら上乗せされるかの目安
- ✔軸ずれ・残余乱視など注意すべきリスク
- ✔円錐角膜など不正乱視での適応の違い
この記事の目次
乱視があってもICL(乱視用ICL)は受けられる
乱視は乱視用のトーリックICLで矯正を目指せますが、適応は度数や乱視の原因により検査で決まります。
トーリックICLは、乱視を打ち消す向きのカーブを組み込んだ乱視矯正用のレンズです。近視だけを矯正する通常のICLに、乱視への対応を加えたものと考えるとイメージしやすいでしょう。
乱視だけがある方や、軽い乱視の方も対象になりえます。ICLの適応度数はガイドラインの改訂で、従来の-6.0D以上の強い近視から-3.0D以上へと広がったとされます。前房深度などの検査項目とあわせて、総合的に判断されます。
ICLは眼内コンタクトレンズ(有水晶体眼内レンズ)で、レンズを取り出せば元に戻せる可逆的な矯正です。角膜を削るレーシックと違い、後から選び直せる余地が残ります。とはいえ手術である以上、受けられるかどうかの見極めには適応検査が欠かせません。
「乱視があるから無理」と自己判断で諦めてしまう方が少なくありません。まずは検査で原因と度数を確かめるところから始めましょう。
そもそも乱視とは|正乱視と不正乱視の違い
乱視とは、角膜や水晶体のゆがみで、光が網膜の1点に集まらずピントがぼやける状態です。ものが二重に見えたり、輪郭がにじんだりします。
この乱視は、ゆがみ方によって大きく2種類に分かれます。正乱視と不正乱視の区別が、後の適応の話につながります。
- 正乱視: ゆがみが規則的で、眼鏡やコンタクトで矯正しやすい乱視
- 不正乱視: ゆがみが不規則で、通常の矯正では合わせにくい乱視
不正乱視の代表例が円錐角膜です。角膜が円錐状に前へ突き出して薄くなる状態で、乱視の原因がこれに当たる場合、適応の判断は近視性の乱視と大きく変わります。
そのため、同じ「乱視」でも原因を見極めることが出発点になります。原因しだいで、矯正の対象になるか、別の対応が必要になるかが分かれるからです。
乱視用ICL(トーリックICL)とは|通常のICLとの違い
乱視用ICL(トーリックICL)は、乱視を打ち消す方向性のあるカーブを組み込んだ乱視矯正用のレンズです。近視と乱視を1回の手術でまとめて矯正できます。
通常のICLとの一番の違いは、レンズの向きです。乱視には角度(軸)があるため、その軸に合わせてレンズの向きを決めて挿入します。
軸がずれると乱視を打ち消しきれないため、通常のICLより精密な準備が求められます。正確な乱視度数の測定と、軸に合わせた設計が前提です。
現行の主流は、STAAR SURGICAL社製のEVO ICLです。その乱視対応版がトーリックICLで、別メーカーからはIPCLという類似のレンズも出ています。
乱視の矯正は、けっして例外的な使い方ではありません。あるICL専門クリニックの実績では、2019年2月から2020年12月にICL手術を受けた方のうち、約41.4%がトーリックICLを使っていたと報告されています。
乱視用ICLの費用|通常ICLとの追加費用をクリニック別に比較
ICLは自由診療で保険適用外のため、費用は全額自己負担です。乱視用は通常ICLの料金に追加費用が上乗せされる構造になっています。
乱視用でいくら上乗せされるのか(クリニック別)
費用相場は、両眼でおおむね45万〜66万円(税込)が目安です。乱視の有無や近視度数、レンズの種類によって金額が加算されます。
| 項目 | 品川近視クリニック | 先進会眼科 |
|---|---|---|
| 通常ICLの基本料金(両眼) | 近視-4D未満で40.7万円 | EVO ICL 42.7万円(-3D未満) |
| 乱視用の追加費用 | +10万円 | +49,000円ほか |
| 度数による加算 | -4D以上で+11万円 | 近視度数などで加算あり |
| 別途費用 | — | 着手金2.2万円が別途 |
いずれも2026年7月時点の公式案内にもとづく金額です。乱視用の上乗せ額はクリニックごとに考え方が異なるため、通常ICLとの差額で比べると見通しが立てやすくなります。
地域ごとに費用や実績を並べて確かめたい方は、静岡県のICLクリニックを費用で比較した記事もあわせて読むと、相場感がつかみやすくなります。
乱視用ICLの費用は医療費控除の対象になるか
費用の負担を和らげる制度も押さえておきましょう。ICL手術費用は医療費控除の対象になると各クリニックが案内しています。一方で、自由診療のICLには高額療養費制度は使えません。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えると、確定申告で所得税の一部が戻る仕組みです。実際の適用可否や金額は、収入や他の医療費との合算で変わります。詳しくは国税庁の案内や税務署でご確認ください。
表示価格だけでなく、乱視用の上乗せ・着手金・検査費まで含めた総額を、見積もりで確認しておくと後から慌てずに済みますよ。
乱視用ICLの見え方とメリット
乱視用ICLは、近視と乱視を1回の手術で同時に矯正でき、レンズ摘出で元に戻せる可逆性が持ち味です。
良好な裸眼視力を得る鍵は、手術で乱視度数を十分に減らすことです。術後に1.0以上の裸眼視力を得るには、乱視度数を1.0D未満まで減らす必要があるとされています。
角膜を削らず、レンズを眼の中に入れる方式です。合わないと感じたときにレンズを取り出して見直せる点は、判断のうえで心強い材料になります。
ただし、術後すぐに見え方が完全に安定するとは限りません。落ち着くまでに一定の期間がかかることもあります。過度に期待しすぎず、経過は医師の説明に沿って確認していきましょう。
乱視用ICLのデメリット・注意すべきリスク
乱視用ICLには、レンズの回転による軸ずれ・残余乱視・強度乱視での限界という、乱視ならではの注意点があります。矯正の要である「軸合わせ」が崩れると、効果が下がるためです。
加えて、ICL全般に共通する術後の反応もあります。ハロー・グレア(夜間の光のにじみ・ぎらつき)、ドライアイ、過矯正、近視の戻りなどが代表的です。
レンズが回転して乱視軸がずれる原因と対処
術後にレンズが回転して乱視軸がずれる主な原因は、眼球とレンズのサイズが合わないことです。軸がずれると、狙った乱視の打ち消し効果が得にくくなります。
対処としては、再手術でレンズの位置を調整する方法があります。位置調整で改善を図れる余地があるのは、可逆的なICLならではの点です。
それでも回転が起きる場合は、ワンサイズ大きいレンズに入れ替えることがあります。どこまで保証の範囲で対応してもらえるかは、クリニックによって異なります。
術後に乱視が残る「残余乱視」と残った場合の対応
術後に乱視が残った状態を残余乱視といいます。良好な裸眼視力を得るには乱視度数を1.0D未満に減らす必要があるとされ、もともとの乱視が強いほど残りやすくなります。
残余乱視が気になる場合は、まず医師に相談してください。原因が軸ずれなのか度数の設定なのかで対応が変わるため、自己判断せず経過を診てもらいましょう。
再手術やレンズ入れ替えの可能性と保証の範囲は、契約前に確認しておくとよいでしょう。追加対応が自己負担になるのか保証内かで、総費用の見通しが変わります。
強度乱視では適応が慎重になる
乱視度数が強いほど残余乱視が生じやすいため、強い乱視では適応の判断がより慎重になります。矯正できる範囲には限界があるためです。
どこまで矯正を狙えるかは、乱視の度数だけでなく、原因や眼の状態によっても変わります。強い乱視の方こそ、検査で見込みを具体的に確かめることが判断の近道です。
リスクの説明は、不安をあおるためのものではありません。起こりうることと対処を先に知っておくほど、術後は落ち着いて向き合えます。
近視性乱視と円錐角膜による乱視|適応の違い
同じ乱視でも、近視性の正乱視は矯正の対象になりえますが、円錐角膜による不正乱視は原則としてICL不適応です。乱視の原因によって、たどる道が分かれます。
近視性乱視のように規則的なゆがみは、トーリックICLで軸を合わせて矯正を目指せます。多くの人がイメージする「乱視のICL矯正」は、このタイプが中心です。
一方、円錐角膜は角膜そのものが不規則にゆがむため、レンズで軸を合わせても打ち消しきれません。円錐角膜はICLが原則不適応とされています。
ただし、進行が停止した軽度の円錐角膜では、条件付きで慎重に手術が行われる場合もあります。可否は個々の状態しだいで、一律には決まりません。
だからこそ、乱視の原因が近視性なのか円錐角膜なのかの見極めが重要になります。この区別は自覚症状だけでは分からないため、適応検査で確かめる必要があります。
乱視用ICLが向いている人・慎重に検討したい人
乱視用ICLが向いているかどうかは、年齢・度数・眼の状態の目安を満たし、乱視の原因が近視性であることが一つの見方になります。
目安として、ICLの適応年齢は21〜45歳が多く、手術自体は18歳から検討されます。前房深度は一般に2.8mm以上が必要とされ、適応度数はガイドライン改訂で-3.0D以上へ広がりました。
逆に、慎重に検討したいのは次のような場合です。あくまで目安であり、可否そのものは検査で判断されます。
慎重に検討したい人
- 円錐角膜の疑いがある人
- 乱視度数が強く残余乱視が心配な人
- 前房深度など眼の条件が目安を下回る人
術前検査とコンタクト装用の中止期間を守る
正確な適応判断には、術前検査とコンタクトレンズの装用中止期間を守ることが欠かせません。乱視用は軸を合わせて設計するぶん、通常のICLより精密な準備が必要になります。
コンタクトレンズは角膜の形に影響するため、検査前に一定期間の装用中止を指示されるのが一般的です。中止期間はレンズの種類やクリニックの方針で異なるので、事前に確認しておきましょう。
正確な乱視度数を測定できてはじめて、レンズの度数と軸が決まります。ここが曖昧なまま進めると、軸ずれや残余乱視につながりやすくなります。検査は焦らず受けてください。
よくある質問(ICLと乱視のよくある疑問)
- Q. ICLで乱視は治せますか?乱視だけでも受けられますか?
-
A. 乱視は乱視用のトーリックICLで矯正を目指せます。乱視だけの方や軽度の方も対象になりえますが、受けられるかどうかは度数や乱視の原因により検査で決まります。効果を保証するものではないため、最終判断は医師の診察が必要です。
- Q. ICLの乱視用レンズがずれる原因は何ですか?
-
A. レンズが回転して乱視軸がずれる背景には、眼内のサイズとレンズの大きさが合っていないことがあります。確率を一律に示すことはできませんが、対処としては再手術で位置を調整し、それでも回転する場合はワンサイズ大きいレンズへ入れ替えることがあります。
- Q. ICL手術後に乱視が残ったらどうすればいいですか?
-
A. 良好な裸眼視力を得るには乱視度数を1.0D未満まで減らす必要があるとされ、もともと強い乱視ほど残りやすくなります。残余乱視が気になるときは自己判断せず医師に相談し、保証の範囲や再手術・レンズ入れ替えの可否を確認してください。
- Q. 強度乱視でもICLの乱視用レンズは使えますか?
-
A. 乱視が強いほど残余乱視が生じやすく、適応の判断はより慎重になります。矯正できる範囲には限界があるため、可否は検査で確かめる必要があります。なお、乱視の原因が円錐角膜の場合は、強さにかかわらず原則としてICL不適応となる点に注意が必要です。
- Q. ICLの乱視治療は保険適用や医療費控除の対象ですか?
-
A. ICLは自由診療で保険適用外です。ただし手術費用は医療費控除の対象になると各クリニックが案内しています。自由診療のため高額療養費制度は使えません。実際の控除額は収入などで変わるため、国税庁の案内や税務署でご確認ください。
乱視用ICLの費用や医療費控除まで含めて具体的にクリニックを見比べたい方は、県内1院と東京3院を医療費控除まで比較した記事もあわせてご覧ください。
まとめ|乱視の原因と費用を知れば落ち着いて選べる
乱視があっても、近視性の乱視なら乱視用トーリックICLで矯正を目指せます。近視と乱視を1回でまとめて矯正でき、レンズを取り出せば元に戻せる可逆性もあります。
費用は自由診療で、乱視用は通常ICLに追加費用が上乗せされます。医療費控除は使えますが、高額療養費制度は使えない点は押さえておきましょう。
判断の分かれ目は、乱視の原因です。
円錐角膜など不正乱視は近視性乱視と適応が異なり、原則不適応となる場合があります。
まずは適応検査で、乱視の原因と度数、矯正の見込みを確かめてください。原因と費用の全体像がつかめれば、自分に合う選択を落ち着いて考えられます。最終判断は、医師の診察のうえで決めていきましょう。

