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「コンタクトで目が乾くからICLを考えているけれど、手術でもっと乾くようになったらどうしよう」——そんな不安で、予約のボタンを押せずにいませんか。
- ✔「ICLを受けたら、ドライアイが悪化しないか心配」
- ✔「もともとドライアイと言われているが、そもそも受けられるの?」
- ✔「術後の乾いた感じは、いつまで続くのか知っておきたい」
ICL(眼内コンタクトレンズ)は、眼の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する手術です。角膜は削りません。
この「削らない」という点が、涙への影響を考えるうえでの出発点になります。日本眼科学会のガイドラインとドライアイ診療ガイドラインの記載をもとに、いま分かっていることを整理しました。
この記事の結論
- ✔ICLの術後合併症一覧に「ドライアイ」は挙げられていない
- 根拠:日本眼科学会『屈折矯正手術のガイドライン(第8版)』の記載。
- ✔もともとドライアイでも「受けられない」と決まるわけではない
- 位置づけ:禁忌ではなく「実施に慎重を要するもの」。
- ✔ただし、ICLはドライアイの治療ではない
- 前提:手術で涙が増えるわけではありません。
ICLでドライアイになる・悪化するのか|現時点でわかっていること
ICLは角膜を削らない術式で、ガイドラインが挙げる術後合併症の一覧にドライアイの記載はありません。
日本眼科学会の屈折矯正手術のガイドライン(第8版)は、有水晶体眼内レンズ手術の術後合併症を9項目挙げました。そこにドライアイは含まれていません。
一方、エキシマレーザー手術(PRK・LASIK)の術後合併症には「ドライアイ」が明記されています。術式によって、公的な文書の記載が分かれている形です。
ただし、記載がないことと、涙への影響がないことは同じではありません。
研究では、涙の指標の一部に変化も報告されている
2024年の前向き観察研究は、ドライアイのない患者を対象にしています。そこでは、ICL挿入術は術後ドライアイの発生に悪影響を及ぼさなかったと報告されました。
同じ研究は、基礎涙液分泌量の低下と、短期的なマイボーム腺機能の指標の悪化にも触れています。涙液メニスカス高と油層スコアの有意な低下もあわせて報告されました。
また『ドライアイ診療ガイドライン』(2019年)は、有水晶体眼内レンズについての検証を今後の課題に挙げました。ICLとドライアイを直接結びつける根拠は、まだ限られます。
「乾きにくい術式」と「乾かない術式」は別もの、と受け止めておくと判断を誤りにくくなります!
なぜレーシックとICLで涙への影響が違うのか|角膜を削るかどうか
レーシックとICLで涙への影響の語られ方が違うのは、角膜を削るかどうかという術式の差があるためです。
ドライアイ診療ガイドライン(2019年)は、角膜上皮障害と涙液層破壊時間(BUT)の低下に触れています。眼内外の前眼部手術全般によって誘発される可能性が高い、という示唆です。
一方、涙の分泌量(Schirmer値)の低下は角膜の切開または切除を行う手術(白内障、LASIK)で示唆された、と分けて書かれています。
レーシックは角膜を削る/ICLは角膜を削らずレンズを入れる
レーシック(LASIK)は、角膜の表面にフラップと呼ばれるふた状の薄い層を作ります。その下の角膜をレーザーで削り、屈折を変える手術です。
角膜そのものの形を変えるため、削った部分を元の状態には戻せません。
ICLは角膜を削らず、眼内へ小さなレンズを入れて近視や乱視を矯正します。レンズを取り出せば手術前の状態に戻せる「可逆性」があると説明されています。この点が、レーシックとの大きな違いです。
現在主流のホールICLは、レンズ中央の微小な穴によって房水(ぼうすい)の流れを妨げない仕組みになっています。
角膜の表面には知覚神経が豊富に分布し、涙の分泌反射やまばたきの反射に関わります。角膜に手を加える範囲の違いが、涙への影響の差の背景にあると考えられます。
ただしICLも目に対する手術で、術後しばらく乾いた感じが出ることはあります。
ICL・レーシック・SMILEの涙への影響を比べる
公的資料と論文の記載を3つの術式で並べると、角膜に手を加えるかどうかと、涙の指標が戻る時期に違いが見えてきます。
ICL・レーシック(LASIK)・SMILEの涙への影響(資料の記載を並べたもの)
| 項目 | ICL | レーシック(LASIK) | SMILE |
|---|---|---|---|
| 角膜を削るか | 削らない(眼内にレンズを入れる) | フラップを作り角膜を削る | 本記事で参照した範囲では確認できず(要確認) |
| 可逆性 | レンズを取り出せば元に戻せるとされる | 角膜を削るため不可逆 | 本記事で参照した範囲では確認できず(要確認) |
| 屈折矯正手術のガイドライン(第8版)の術後合併症の記載 | 有水晶体眼内レンズ手術の合併症一覧にドライアイの記載なし | エキシマレーザー手術(PRK・LASIK)の合併症に「⑩ドライアイ」の記載あり | 本記事で参照した範囲では確認できず |
| 報告されている涙液指標の経過 | First-NIBUTが術後1か月で術前水準に回復(2024年の前向きコホート研究) | BUTは3か月まで悪化、Schirmer値は1か月まで/3か月まで/1年までの報告が各1篇、自覚症状は3か月まで・16か月までの悪化報告あり | First-NIBUTが術後3か月で術前水準に回復(同研究) |
出典:日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン(第8版)」/ドライアイ診療ガイドライン(2019年)CQ22/BMC Ophthalmology(2024年)
2024年の前向きコホート研究は、SMILE手術とICL挿入術を比べました。SMILEのほうが眼の表面やマイボーム腺の機能への影響が目立ち、長く続いたという結論です。
ここに並べたのは、あくまで資料に書かれた記載や報告です。どの術式が向くかは、目の状態や希望する見え方によって変わります。
術式の違いは目安になりますが、乾きやすさは涙の量や質、パソコン作業の時間でも変わるそうです。自分の涙の状態は、検査の数値で確かめるのが近道ですね!
そもそもドライアイとは|定義・診断基準・日本での広がり
ドライアイは、涙の量そのものより「涙の膜が安定して保てるか」が崩れた状態を指します。
ドライアイ研究会の2016年版の定義では、さまざまな要因で涙液層(目の表面をおおう涙の膜)の安定性が低下する疾患とされます。
眼不快感や視機能異常(見え方の質の低下)を生じ、眼表面の障害を伴うこともあると説明されています。
診断基準は2つだけです。BUT(フルオレセインで染めて、涙の膜が壊れるまでの秒数を測る検査)が5秒以下で、かつ自覚症状があること。
ここでいう自覚症状は、乾燥感やゴロゴロする異物感に限りません。かすみや目の疲れといった見え方の不調も含みます。
出典:ドライアイ研究会「ドライアイの定義と診断基準」
日本国内のドライアイ有病率(報告例)
| 調査 | 対象と結果 |
|---|---|
| Koumi Study | 40歳以上の住民3,294名。男性12.5%・女性21.6% |
| Osaka Study | 企業従業員672名に検査を実施。男性8.0%・女性18.7% |
| 日本眼科医会 | 40歳以上の成人の17.4%。少なく見積もっても1000万人以上と紹介 |
オフィスワーカーを対象とした調査では、全体の60%以上がドライアイもしくはその疑いと報告されました。目が乾く感覚は、めずらしい体質ではありません。
出典:ドライアイ診療ガイドライン(2019)/日本眼科医会「ドライアイ」
- エアコン:低湿度・低温が涙の蒸発を進める
- コンタクトレンズ:薄い涙の膜を表と裏の2層に分けてしまう
- コンピュータ:画面を見続けるVDT作業でまばたきが減る
「涙が出るのに乾く」が起きるしくみ
涙が出るのに乾くという感覚は、涙の量ではなく涙液層の安定性が落ちているときに起こります。
涙の膜は、まばたきのあとしばらくすると部分的に破れます。この破れが早すぎると、目の表面がむき出しになる時間が延びます。
角膜の表面は知覚神経が密に集まる場所です。刺激を受けると、反射的にどっと涙が出ることがあります。
つまり、涙がこぼれる=乾いていない、とは限りません。量が足りていても、膜として長くとどまれなければ症状は続きます。
夕方に文字がにじむ、目を閉じたくなるといった変化も、涙の状態を調べる手がかりになります。
もともとドライアイでもICLは受けられるのか|適応の考え方
もともとドライアイがある人でも、ICL(有水晶体眼内レンズ手術)の対象から外れると決まっているわけではありません。
日本眼科学会の「屈折矯正手術のガイドライン(第8版)」では、ドライアイは「実施に慎重を要するもの」に位置づけられています。受けてはいけない項目(禁忌)ではありません。
「慎重を要する」とは、検査で目の状態を確かめ、必要なら整えてから手術日を組む、という進め方を指します。
同ガイドラインが挙げる有水晶体眼内レンズ手術の術前スクリーニングにも、涙液検査が入っています。涙の状態は最初から確認する前提です。
あわせて、適応年齢は原則21〜45歳、屈折矯正量は6D以上の近視という枠も示されました。3D以上6D未満の中等度近視と、15Dを超える強度近視には慎重に対応します。
涙を整えてから進める理由のひとつは、LASIKでの報告です。『ドライアイ診療ガイドライン』には、術前にドライアイがある人はLASIK後もドライアイの程度が強いことが示唆されたという記載があります。
同ガイドラインは、有水晶体眼内レンズについての検証は今後の課題とも明記しました。そのまま当てはめられませんが、術前に涙の状態を整えておく意味はあります。
ドライアイの程度も目の形も人それぞれで、受けられるかどうかの最終的な判断は、検査を受けたうえで診察した医師が行います。
出典:日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン(第8版)」/ドライアイ診療ガイドライン(2019)
以前からドライアイを指摘されている方は、適応検査を予約する段階でその旨を伝えておくと話が早いようです。
涙の状態が悪いと、レンズ度数の測定値がぶれることがある
涙の膜が不安定だと、レンズの度数を決めるための測定値がばらつくことがあります。
適応検査で行う屈折値検査・角膜曲率半径計測・角膜形状検査は、いずれも眼の表面を覆う涙の膜を通して測っています。
膜が途切れやすい状態では、測るたびに値が動きやすくなります。度数の選定に影響しうるからこそ、術前に涙を整える工程が入ります。
乾きの自覚が薄くても、BUTが短ければ測定値は安定しにくくなります。
術前にドライアイの治療をする場合、実際に何をするのか
術前のドライアイ治療は、まず検査で重症度を確かめ、点眼を軸に段階を踏んで進めます。
どの治療をどれだけ続けるかは、検査結果と自覚症状によって変わります。点眼だけで整う人もいれば、涙点プラグまで進む人もいます。
※治療にかける期間や手術日の組み方には個人差があり、医療機関によっても異なります(要確認)。
出典:ドライアイ診療ガイドライン(2019)
ICLでドライアイは治る?コンタクトをやめて軽くなる人と、残る人
ICLはドライアイを治すための手術ではありません。眼内にレンズを入れて近視や乱視を矯正する手術です。
涙の分泌そのものを増やす目的では行われません。手術を受ければ涙が増える、とは考えにくいところです。
ただし、乾きの一部がコンタクトレンズによるものなら話は変わります。レンズの装用をやめた分だけ、自覚症状が軽くなる可能性はあります。
『ドライアイ診療ガイドライン』は、コンタクトレンズ装用がドライアイ症状を呈するリスクを高めると記載しています。ただし、発症の危険因子となるかどうかは不明としています。
コンタクトをやめると軽くなる人のしくみ/残ることがあるケース
軽くなるかどうかは、乾きの主な原因がレンズそのものにあるかどうかで分かれます。
日本眼科医会は、コンタクトレンズが薄い涙の膜をレンズの表面と裏側の2つの層に分けてしまうと説明しています。
日本眼科学会も、涙液層はレンズによって分断されて不安定になり、レンズの表面も乾きやすくなると記載しています。摩擦が増えれば、目の表面に傷ができることもあります。
装用をやめれば、この一連の刺激はなくなります。コンタクトが負担の中心だった人ほど、乾きの自覚が和らぐ余地があります。
- まぶたのふちにあるマイボーム腺の機能が低下している
- 全身性の結合組織疾患などにともない、涙の量そのものが減っている
- エアコンによる低湿度・低温で涙の蒸発が進みやすい環境にいる
- パソコン作業(VDT作業)の時間が長い
手術以外に試せる手が残っている場合もあります。自分がどちらの型に近いのかは、検査で確かめておきたいところです。
適応検査の前にコンタクトを外す期間の目安
適応検査の前は、一定期間コンタクトレンズの装用を中止したうえで測定します。
レンズは角膜の形状や涙液層に影響します。着けたままでは、本来の数値からずれてしまいます。
レンズ種類別・装用中止期間の考え方
| レンズの種類 | 中止期間 | 傾向 |
|---|---|---|
| ソフト | 要確認 | 4種類のなかでは短めの指示になりやすい |
| 乱視用ソフト | 要確認 | 通常のソフトより長めを求められることがある |
| ハード | 要確認 | ソフトより長い期間を求められる傾向 |
| オルソケラトロジー | 要確認 | 角膜の形を意図的に変える方法のため、最も長くなりやすい |
具体的な日数は、医療機関の方針やレンズの種類・装用歴によって異なります。受診先の指示に従ってください。
中止期間は裸眼で過ごすことになるため、度数の合ったメガネを先に用意しておくと生活が回ります。
ICL手術後の乾燥感はいつまで?経過の目安と点眼スケジュール
ICL手術後の乾いた感じは、術後しばらくのあいだの一時的な変化として報告されているものです。
涙の膜が安定している時間をみる指標(First-NIBUT)は、術後1週でいったん低下しました。その後は回復し、ICLでは術後1か月で術前の水準に戻ったと報告されています。
出典:BMC Ophthalmology 2024(SMILE 32眼・ICL 35眼の前向きコホート研究)
背景には、前眼部の手術全般で涙の指標が動きうる、というガイドラインの見方があります。
ICL挿入術については、基礎涙液分泌量やマイボーム腺機能の指標が短期的に低下したという報告もあります。
- 術後1週ごろ:涙の安定性の指標が一度低下したという報告がある時期
- 術後1か月ごろ:ICLでは術前水準に戻ったと報告された時期
- 術後6か月まで:ガイドラインが原則として経過観察を行うとする期間
- 検診:翌日・数日後・1週・1か月・3か月・6か月・1年と続く
経過観察の期間について、屈折矯正手術のガイドライン(第8版)は原則として術後6か月までとしています。個々のパラメータが安定する時期です。
ただし、これらは報告された平均的な流れにすぎません。感じ方や戻り方には差があり、症状が長く続くときは検診で伝えてください。
「乾く」という言葉が指す感覚は人それぞれ。いつ・どんな場面で強くなるかまで添えて伝えると、診察でも話が早いようです。
術後の点眼が続く時期と、乾いた感じを覚えやすい時期は重なりやすい
術後は、感染や炎症を抑える目的の点眼が一定期間続きます。ガイドラインも術後感染性眼内炎や一過性眼圧上昇を合併症に挙げており、点眼を含む管理が前提です。
点眼薬の種類・回数・継続期間は、術式や医療機関の方針によって異なります(要確認)。
ここで重なりが生まれます。点眼を続けている時期と、報告で涙液の指標が下がる術後1週〜1か月ごろは近いのです。
点眼の回数が多い時期に乾いた感じを覚える方もいます。原因を一つに決めつけることはできませんが、点眼が減っていく頃に落ち着く例も少なくありません。
自己判断で点眼をやめたり、市販の目薬を勝手に足したりしないでください。しみる・充血するといった違和感は、次の検診でそのまま伝えれば大丈夫です。
「乾く感じ」とハロー・グレアの見分け方
術後の見えにくさには、乾いた感じによるものと、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)という別の出方があると整理できます。
術後の見えにくさ|乾燥感とハロー・グレアの違い
| 項目 | 乾いた感じ・異物感 | ハロー・グレア |
|---|---|---|
| 症状の出方 | 乾き・異物感・かすみ。まばたきで見え方が一時的に変わる | 光の周りがにじんで見える、まぶしさを強く感じる |
| 出やすい場面・時間帯 | パソコン作業中、エアコンの効いた室内。夕方に強まりやすい | 夜間の運転や暗い場所など、瞳孔が広がる場面 |
| 関連する要因 | 涙液層の安定性の低下。「3つのコン」の環境要因 | 暗所での瞳孔径。術前スクリーニングでも瞳孔径を測定する |
| 受診時の伝え方 | 「夕方の作業中にかすむ」など時間帯と作業内容をセットで | 「夜の運転で対向車の光がにじむ」など場面を具体的に |
ハロー・グレアは、ガイドラインが有水晶体眼内レンズ手術の術後合併症として挙げる項目です。乾燥感とは対処の方向が変わります。
どちらか判断がつかないときは、症状が出た場面と時間帯をスマホにメモしておき、検診でそのまま見せてください。
乾燥感が気になるときにできること
まず優先したいのは、処方された点眼を指示どおり続けることです。追加や中止は自己判断せず、医師に相談してください。
- ✔市販の目薬を足してよいかは、自分で決めずに受診先に確認する
- ✔エアコンの風が顔に直接当たらない席にし、室内を加湿する
- ✔パソコン作業はこまめに休憩を挟み、まばたきを意識する
- ✔画面の位置を目線より下げ、目を大きく開く時間を減らす
環境の見直しは、「3つのコン」に沿った考え方です。自分の一日のうち、どれが多いかを点検してみてください。
そして、強い痛み・急な視力の低下・目立つ充血があるときは、次の検診を待たずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
ドライアイ以外に知っておきたいICLの合併症
ICLには、乾き以外にも知っておきたい術後の合併症があります。日本眼科学会の屈折矯正手術のガイドライン(第8版)は、有水晶体眼内レンズ手術の術後合併症として9項目を挙げました。
ガイドラインが挙げる9つの術後合併症
- 術後感染性眼内炎
- ハロー・グレア(光がにじむ、まぶしい)
- 角膜内皮障害
- 術後一過性眼圧上昇およびステロイド緑内障
- 白内障
- 閉塞隅角緑内障
- 網膜剝離
- 近視性網脈絡膜萎縮
- 虹彩切開あるいは虹彩切除による光視症
同学会の一般の方向けの解説でも、白内障・一過性眼圧上昇・緑内障・ハローグレア・角膜内皮細胞障害・網膜剥離・眼内炎が合併症として示されています。
どれくらいの割合で起きるかは、条件によって変わるため一概には言えません。ただ、リスクがゼロではないという前提は持っておきたいところです。
だからこそ、術前検査が手術と同じくらい大事な工程になります。ガイドラインの術前スクリーニングに、角膜内皮細胞検査や前眼部画像解析(前房深度を含む)が含まれるのもそのためです。
すぐに連絡したほうがよいサイン
次のような変化は、次の検診日を待たずに連絡してよい場面です。
- ✔急に見えにくくなった
- ✔強い痛みが続く
- ✔充血がひどくなった
連絡先は、手術を受けた眼科です。早めに診てもらえれば、それだけ打てる手も多くなります。
合併症の名前が並ぶと不安になりますが、名前を知っておくと「いつもと違う」に気づけます。気になったら遠慮なく相談してくださいね!
まずは適応検査で自分の目の状態を確かめる
自分がドライアイなのか、ICLを受けられる目なのかは、眼科の適応検査を受けてはじめて分かります。
乾く感じの強さと涙の状態は一致しないこともあり、症状の記憶だけで線引きはできません。検査は、その判断材料をそろえる場です。
屈折矯正手術のガイドライン(第8版)は、術前スクリーニングとして次の項目を挙げています。
- 視力検査/屈折値検査/角膜曲率半径計測
- 細隙灯顕微鏡検査/角膜形状検査/角膜厚測定
- 涙液検査/眼底検査/眼圧測定
- 瞳孔径測定/角膜径測定
- ICLでは角膜内皮細胞検査と前眼部画像解析(前房深度を含む)が加わる
涙液検査が最初から組み込まれているため、涙の状態も適応を考える材料として測られます。
ICLは公的医療保険の対象外の自由診療です。検査の進め方や費用の扱いも医療機関ごとに異なります。
受診前のセルフチェックと、予約・問診で伝えたいこと
次のセルフチェックは診断ではなく、診察で伝えるためのメモです。ドライアイの診断は、BUTと自覚症状をもとに医師が判断します。
- ✔目が乾く、ゴロゴロする
- ✔かすむ、まぶしく感じる
- ✔目が疲れやすい
- ✔涙は出るのに乾く感じが残る
- ✔夕方やパソコン作業のあとに悪くなる
あてはまる項目に加えて、次の情報を持っていくと問診が早く進みます。
- 予約の電話で確認:コンタクトレンズの装用中止期間
- 予約の電話で伝える:ドライアイを指摘されたことがあるか
- 症状が出る場面と時間帯(朝・夕方・作業中など)
- 使っている点眼薬(市販の目薬も含む)
- コンタクトの種類・装用歴の長さ・1日の装用時間
- これまでに受けたドライアイ治療の内容と効き方
- 服用中の薬と、治療中の全身の病気
- 仕事や生活の環境(エアコンの効いた部屋、画面を見る時間)
点眼薬は名前を控えるより、箱ごと持参するほうが確実だと思います。中止期間は予約の電話でまとめて聞いておくと、当日に測り直しになりません!
適応検査を受ければ、乾きの正体も、ICLという選択肢が自分に合うかどうかも、数値で確かめられます。
よくある質問
- Q. ICL手術後の乾燥感はいつまで続きますか?
-
A. 検査でみる涙の指標が術前の水準に戻ったという報告にもとづくと、1か月ほどが一つの目安です。
BMC Ophthalmology 2024では、涙の膜が壊れるまでの時間 (First-NIBUT) がICL群で術後1か月に術前と同じ水準へ戻りました。ただしこれは検査の数値でみた回復時期で、乾いた感じの自覚がいつ和らぐかには個人差があります。
検診は翌日・数日後・1週・1か月・3か月と続きます。気になる時期はそのつど伝えてください。 - Q. ドライアイがひどいとICLの手術は延期になりますか?
-
A. 涙の状態を整えてから手術日を組む、という流れになることがあります。
ガイドライン第8版は、ドライアイを「実施に慎重を要するもの」に挙げ、術前スクリーニングに涙液検査を含めています。
そのまま予定どおり進めるか、点眼などで整えてからにするかは、診察した医師が判断します。 - Q. ICL手術後に市販の目薬は使えますか?
-
A. 自己判断で足さず、手術を受けた医療機関に確認してください。
術後は処方された点眼が優先されます。市販点眼を使ってよいかは医療機関の方針によって異なり、個別に要確認です。
手元の目薬を使いたいときは、容器を持参して見てもらうと話が早く進みます。 - Q. ICL手術後に涙が出るのは普通ですか?
-
A. 涙が出ること自体は起こりうる反応で、「乾いていない証拠」とは限りません。
涙の膜が不安定になると、わずかな刺激でも反射的に涙があふれることがあります。
ただし強い痛み・充血・急な見えにくさを伴う涙目は別です。その場合は早めに受診してください。 - Q. ICLとレーシックはどちらがドライアイになりにくいですか?
-
A. 術式によって涙への影響の出方が違うため、一律の優劣はつけられません。
ガイドライン第8版は、エキシマレーザー手術 (PRK・LASIK) と有水晶体眼内レンズ手術を別々の項目で扱っています。合併症の記載もそれぞれ独立したもので、比べて順位をつけるための記述ではありません。
どの方法が向くかは度数や角膜の状態でも変わります。適応検査での相談が前提になります。 - Q. ICL手術後にどんな症状が出たら受診すべきですか?
-
A. 強い痛み・急な視力低下・充血・見え方の急な変化があれば、次の検診を待たずに連絡します。
乾燥感のように時間とともに落ち着く不調とは別に、早い対応が必要なものもあります。
迷ったら受診先に電話で症状を伝え、指示を仰いでください。
まとめ|ドライアイでも、まずは涙の状態を確かめることから
ドライアイがあっても、ICLという選択肢が消えるわけではありません。受けられないのではなく、術前に涙の状態を整えてから判断するという位置づけです。
判断の分かれ目は、乾きの主な原因がどこにあるかです。コンタクトの負担が中心なら装用をやめた分は軽くなり、涙そのものが足りていなければ別の手当てが要ります。
術後の乾燥感は一時的な変化として報告されていますが、感じ方には個人差があります。気になる状態が続くときは、検診で遠慮なく伝えてください。
この記事のまとめ
- ✔ICLは角膜を削らない術式で、ガイドラインの合併症一覧にドライアイの記載はない
- ✔ドライアイは「実施に慎重を要するもの」。まず確認と治療をしてから進める
- ✔ICLはドライアイの治療ではないが、コンタクトが原因の分は軽くなることがある
- ✔術後の乾燥感は一時的との報告が多く、点眼が続く時期と重なりやすい
- ✔自分がどれに当てはまるかは、涙液検査を含む適応検査で確かめる
次の一歩は、涙液検査を含む適応検査の予約です。電話でコンタクトの中止期間を確認し、ドライアイを指摘された経験もあわせて伝えておいてください。

